トップクラスの効率を示す両面受光パネル

 「『両面受光パネル』の雪を滑り落とす効果がこれほど大きいとは思わなかった」と、西山経営企画室長は打ち明ける。実は、同社では、メガクラスの太陽光発電所としては、初めて両面受光型の太陽光パネルを採用した。両面受光パネルとは、裏側でも太陽光で発電するタイプのセル(発電素子)を使ったものだ。通常の太陽光パネルは裏側にバックシートという白い樹脂製シートを貼り付けてあるが、導入した両面受光パネルの裏側は透明のバックシートでカバーしてあり、太陽光を取り入れて発電できる(図8)。裏面でも発電する分、通常の片面発電パネルに比べ、発電量が稼げる。西山坂田電気では、太陽電池ベンチャーのPVG Solutions(横浜市港北区)が開発・製造した両面受光型太陽電池セル「EarthON(アーソン)」を採用した。両面受光型太陽電池の原理は、早くから知られていたが、裏側の変換効率を上げるのが難しいなどの課題があり、製品化する企業は少ない。PVG Solutionsは、裏側の変換効率を高くできる量産技術を確立し、製品化に踏み切った。愛媛県西条市の工場でセルを生産し、パネルへの組み上げは中国や台湾のメーカーに委託している。

図8●PVG Solutionsが開発・製造した両面受光型太陽電池セルを採用した
(出所:日経BP)
[画像のクリックで拡大表示]

 両面受光パネルの採用に踏み切ったのは、「雪国では、雪に覆われて白くなるので太陽光が反射して、パネルの裏側にも太陽光が当たりやすい。裏側で発電できる両面受光の利点が大きくなる」(西山経営企画室長)と考えたからだ。裏面の発電量を加味した両面受光パネルの変換効率に関しては、公式な数字はない。いまの太陽光パネルの規格では両面型を想定した測定基準がないためだ。2012年にPVG Solutionsは、北見工業大学などと両面受光パネルによる発電を実証実験した。PVG Solutionsでは、こうした実証結果などを踏まえ、「アーソン」を採用したパネルの変換効率を「雪など地表が白色ならば裏面を含めて約18%、地面が土のままでは裏面を含めて16~17%程度になる」(PVG Solutionsの堀内慎二取締役)と分析している。地面を白くして反射量を増やせれば、現在、量産されている太陽光パネルの中でも、トップクラスの効率になる。西山経営企画室長は、北見市の実証実験を見学して、両面受光パネルの採用を決めた。「両面受光パネルなら、雪を味方に付けられる」(西山経営企画室長)と考えた。雪のない期間も裏面の発電量を増やすため、現在、地面に白い素材を撒くなどの検討をしている。