土地確保と資金調達の壁を克服
両面受光パネルを設置したメガソーラーが稼働して初めての冬を迎え、雪を滑り落としやすくする効果が大きいことも分かってきた。太陽光パネルが発電するとセルの温度が20~30℃も上がり、積もった雪を解かす効果があることは知られている。ただ、一度にまとまった雪が降ってパネルに厚く積もってしまうと、太陽光がほとんど届かない。そうなると発電時の発熱による融雪効果は期待できない。だが、両面受光パネルの場合、大雪後に晴れれば、パネルの裏側に光が当たって発電する。するとパネルの温度が上がって雪が解けやすくなる。想定はしていたが、その融雪効果は予想以上に大きいことがわかってきた。「稼働後、10月はやや想定した発電量を下回ったが、11月以降は、想定以上に発電している」(西山経営企画室長)。「雪を味方に付ける」という目論見が軌道に乗りつつある。
順風満帆に見える西山坂田電気のメガソーラー事業だが、当初は難問山積だった。両面受光パネルのほか、パワーコンディショナー(PCS)は、信頼性の高い東芝三菱電機産業システム(TMEIC)製に決めた(図9)。ただ、そもそも土地探しに難航した。旭川市周辺には広い土地は多いが、「広い土地のほとんどは農地。農地でないところは日当りがよくないことが多く、それではメガソーラーにも向かない。諦めかけていたところに、旭川市が廃校になった市立高校のグラウンドの跡地利用を公募し、提案が採用された」(西山経営企画室長)。
次の課題が資金調達だった。西山坂田電気が金融機関から直接、借りた場合、自己資本比率が低下し、企業の格付けランクが下がってしまう。そうなると公共案件の受注が難しくなる。そこで、合同会社による特定目的会社(SPC)に匿名組合が出資することにし、政策金融公庫と複数の地方銀行からSPCに対して6億円の融資を引き出すことに成功した。こうして土地と資金調達の課題が解決した。同社のメガソーラー事業は、技術と資金調達の両面で、地元企業にとってたいへん参考になりそうだ。
発電所名 | 旭川北都ソーラー発電所 |
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住所 | 北海道旭川市神居町台場183 (旧旭川北都商業高等学校グラウンド) |
事業者 | 北都発電合同会社 |
土地所有者 | 旭川市 |
売電開始日 | 2013年11月29日 |
発電容量 | 1.25MW |
EPC(設計・調達・建設) | 西山坂田電気 |
O&M(運営・保守) | 西山坂田電気 |
太陽電池セル | PVG Solutions製 |
PCS(パワーコンディショナー) | 東芝三菱電機産業システム(TMEIC)製 |
架台 | 伊藤組土建、郷葉が建設 |
3ページ目第1段落最後の行で、「中国メーカー」としていましたが,「中国や台湾のメーカー」です。また、3ページ目最後から2番目の文で、「両面受電」としていましたが、「両面受光」です。お詫びして訂正します。本文は修正済みです。 [2014/2/6]