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 「EIZO」ブランドの、高品質な液晶モニターで知られるナナオ。医用液晶モニター「RadiForce」シリーズにおいても、数多くのラインアップを用意している。筆者は同モニターの生産現場を訪れる機会を得た(2011年1月末に訪問)。その現場からは、同社のこだわりの一端を垣間見ることができた。

RadiForceなどの上位機種は1台ずつ搬送

 石川県白山市。本社と同じ敷地にある4階建ての建物が、液晶モニターの生産工場である。ここで同社のモニター製品の95%が造られ、その半数以上は海外に出荷されるという。なお、残り5%はドイツの工場で生産している。  4階にはRadiForceの他、広色域モニター「ColorEdge」シリーズなど上位機種の生産ライン、3階には汎用モニター「FlexScan」シリーズの生産ラインがある。2階は生産管理用、1階は梱包・出荷用のスペースになっている。4階と3階では、それぞれ組み立て→エージング→調整→検査という段階を経てモニターが完成し、1階の梱包スペースへと運ばれていく。
3階の「FlexScan」の生産ラインに置かれていた、組み立てを待つ液晶パネル
 4階と3階の工程の流れは基本的に同じだが、その中身はかなり違う。例えば、3階ではベルトコンベヤを利用した流れ作業で工程が進んでいくのに対して、上位機種を扱う4階ではモニターを1台ずつキャスター付きのワゴンに載せて、各工程間を移動させている。機種によって、それぞれ異なる調整を実施する必要があるためだという。
3階の生産ラインの様子。液晶パネルが徐々にモニターへと組みあがっていく
 なお、4階において、モニターを載せたワゴンには1台ずつUPS(無停電電源装置)が装備され、途中でモニターの電源が落ちないよう配慮されていた。
4階の生産ラインの様子。1台ずつ、UPSを積んだワゴンで搬送していた

調整工程だけで1台30分かかる場合も

 組み立て→エージング→調整→検査という段階を経て完成していくモニターの生産工程の中で、特にナナオがこだわっているのが、調整の工程である。同工程は、「高い品質を維持する肝」(同社)となるノウハウの宝庫だという。  実際、上位機種を扱う4階には、さまざまな種類の調整用の装置が数多く配備されていた。調整工程だけで1台当たり30分ほどかかる場合もあるようだ。組み立てから梱包に至るまでのトータルの作業時間についても、4階は3階に対して「2倍近くかかる」(同社)という。
1台ずつ表示性能を評価・調整している様子
 例えばナナオは、広色域モニター「ColorEdge」シリーズなどにおいては、生産工程で液晶パネル1枚ずつの階調や面内のバラつきの調整を施している。「パネルの階調特性や面内均一性などの個体差も、モニターの表示性能に大きく関わってくる。この点も、配慮しなければならない」(同社)とし、この調整により、パネルの個体差を吸収している。
ナナオの液晶モニター「ColorEdge」シリーズなどでは、独自の補正技術で面内の色のバラつきを改善している。これにより、パネルの個体差を吸収する。(図:ナナオの資料を基に本誌が作成)
 ColorEdgeシリーズにおいては、調整や検査の際に測定した光学特性などのデータが、品質証明書として製品に同梱されることになる。
調整や検査の際に測定した色度の例。こうしたデータが品質証明書に記載される