10月14日と15日の2日間、北海道旭川市の旭川グランドホテルで開催された日本遠隔医療学会学術大会(JTTA2011 ASAHIKAWA、大会長:吉田晃敏氏・旭川医科大学)では、遠隔医療だけに画像や映像関係の製品やソリューションが多く展示された。
計測技術研究所(横浜市都筑区)は、2LCDハーフミラー式/4K-3Dモニターを試験展示した。2枚の4K液晶パネルとハーフミラーを組み合わせた3次元モニターと、ハイビジョンの4倍の高精細画像を出力するハイスピード・レコーダーを組み合わせたシステム。高精細の3次元画像が必要な遠隔診断に必要な機能を揃えている。
クオリカはグループ企業と共同で出展した。メーンは、タッチパネル式ディスプレイ「WebLight」。既に旭川医科大学が、PHRシステム「ウェルネットリンク」を利用して留萌地区で実施している遠隔在宅保健指導で、在宅用端末として導入実績がある。データの入力・送信はもちろん、テレビ電話やビデオレターにも対応。本体の前面にWebカメラとUSB端子が付属、生体認証機器やバーコードリーダーなどを接続して利用できる。OSはWindows XP Embedded、CPUは騒音の少ないファンレスのAtom N270 1.6GHzを搭載。価格は17万~18万円で、大きさは12型と15型の2種類がある。
同社は、次世代機種として開発を進めている、普段から持ち運んで利用できるタブレット端末も展示した。この端末は、WebLightの基本的な機能を継承するのに加えて、デジタルペンでの操作や入力に対応する計画。「外出先などでのデータ入力には、キーボードでなくペン入力の方がより便利と考えて実装することを決めた」(クオリカのクライアントソリューション部統括マネジャー齊藤俊也氏)という。
テレビ番組の放送・制作などで培った映像関連技術を、遠隔医療ソリューションに応用した展示もあった。ソニービジネスソリューションが展示したのが、病病・病診連携向けの高精細遠隔医療支援システム。HDコミュニケーションシステムPCS-XG80に、映像を合成するイメージマルチプレクサーVMI-40MDを組み合わせたもので、1つの画面に最大4つの動画や画像をHD水準で表示する機能を持つ。例えば、手術室全体と手術している部分のアップ、心電図、CT画像などを組み合わせて表示できる。同社は、モバイル回線を利用して、N対Nでリアルタイム映像を伝送するLocationPorterも展示した。こちらは、救急現場からの遠隔診断支援などに利用可能。今年3月に、救急車44台の映像の同時伝送が可能なシステムを広島市消防局が利用開始したという。
ユープロダクション(札幌市中央区)は、遠隔医療システムのF2F KizunaVisionを展示した。遠隔地をインターネットで結んで動画や静止画を同時に閲覧できるのに加えて、画面への書き込みも可能。遠隔診療や会議などコンテンツの録画もできる。特徴は大きな回線容量を必要としないこと。同社取締役の佐々木春光氏は「テレビ番組制作で培った技術を応用し、番組同様1秒間30コマで映像を送信している。700kbps程度で利用できるので、ADSLなら2回線あれば大丈夫。一般のテレビ会議システムのように、専用回線や光ファイバーなど大容量の回線を必要としない」と説明した。