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 全日本病院協会(全日病)が2012年度病院経営調査の結果を公表した。それによると、調査対象病院の多くは、2012年度診療報酬改定の前後で医業収入が増えたものの、人件費や医薬品費も増加したため、収支はほぼ横ばいという状況が明らかになった。

 調査は、全日病が毎年5月の経営データを収集し、分析しているもの。2012年は会員600病院を対象に実施し、332病院から回答を得た。回答病院のプロフィールを見ると、病床規模は199床以下が72.6%、所在地は東京都と政令指定都市を除いた「その他」の地域が70.8%だった。病院種別は、一般・療養病床のケアミックスが40.0%、一般病床のみが37.3%、療養病床のみが11.4%だった。

 2012年5月の医業収支率(医業収入/医業費用)を病院種別ごとに見ると、療養病床のみの病院が平均109.2%で最も高く、一般・療養のケアミックス病院が108.4%と続いた(表1)。総収支がマイナスとなった病院の割合は、「一般病床のみ」が28.2%と最も多かった。

 前回調査でも回答した279病院について、2012年5月と前年同月の経営指標を比較すると、入院患者数や病床利用率は1年前より減少していた(表2)。一方で、入院1人1日当たり金額(患者単価)は平均2565円(7.6%)アップ。199床以下の病院の入院患者単価は、2011年から5.1%増の3万2532円、200床以上の病院は9.8%増の3万9191円と、大病院の方が患者単価の伸びが大きかった。外来部門では患者数、単価ともに上昇しており、月間医業収入は平均1050万円(4.6%)アップしていた。

 コスト面を見ると、1病院当たりの従業員数と平均給与が上昇。医薬品費も増えており、トータルで医業収支率は0.2%減とほぼ横ばいだった。報告書では、「2011年から患者単価は増えたが、質向上のための人員強化の影響で収支の改善には至っていない」と結論づけている。