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 2012年度診療報酬改定から5カ月余り。中央社会保険医療協議会では2014年度診療報酬改定に向け、入院医療の評価に関する議論が早くもスタートした。

 今改定の最大の特徴は、政府が先に打ち出した社会保障改革の「2025年モデル」を志向した点にある。病院・病床機能の役割分担と連携、さらには在宅医療を強力に推し進めるための点数設定がなされた。一方で、初再診料や入院基本料をはじめとする基本診療料のあり方の抜本的見直しなどの課題は積み残しとなった。そこで、今改定の現場への影響を検証した上で、2025年という着地点を見据えた議論をいち早く進めることが、答申の際に取り決められた。

 そうした経緯から中医協では3月末、基本診療料のあり方について診療報酬基本問題小委員会で重点的に議論していくことを了承。さらに、入院医療等の調査・評価分科会を立ち上げて入院医療に関する今改定の影響調査を実施することを6月末に決めた。同分科会の初会合は8月1日に開催、いよいよ本格的な議論が始まった。

図5◎中央社会保険医療協議会における2014年度診療報酬改定に向けた入院医療評価の検討の流れ(中医協の資料や議論を基に編集部で作成)
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診療側、支払側は「脱看護配置」で一致

 調査の中味や検討の流れは図1に示す通り。調査項目は多岐にわたるが、8月1日の分科会および8月22日の中医協総会ではいずれも最大の課題として、現場への影響度が大きい一般病棟入院基本料のあり方に関する議論を集中的に行った。

 一般病棟入院基本料を巡っては、今改定で7対1入院基本料の要件が厳格化されたり、13対1・15対1入院基本料の特定除外制度が廃止されるなど、大胆な見直しが行われた。ただ、7対1入院基本料を除いて看護必要度基準が要件化されていないことや、7対1・10対1入院基本料で特定除外制度が残されていることに対し、分科会や総会では問題意識を表明する委員が相次いだ。

 一般病棟入院基本料が看護配置をベースに設定されていることについては、診療側も支払側も「そろそろ見直すべき」との考え方で既に一致。7月18日の中医協・基本問題小委員会では、「脱看護配置」を進めて入院患者の状態像を踏まえた評価方法に改めていくことで両者の合意をみている。そのため、次期改定で大がかりな見直しが行われる可能性も十分にある。

 このほか分科会では、亜急性期病床と回復期リハビリテーション病棟の患者像の相違や医療機関の褥瘡発生状況なども調査する方針。調査結果次第では、次期改定で亜急性期関連の入院料が大胆に再編されたり、褥瘡発生率などのアウトカム(成果)に応じた評価が拡大することも考えられ、議論の行方が大いに注目されるところだ。