政府は7月31日、エネルギーや環境、医療・介護などを成長の柱と位置づけた日本再生戦略を取りまとめ、閣議決定した。成長分野に重点的に予算を配分し、2020年度までの平均で名目3%、実質2%程度の経済成長を目指す。医療・介護分野では、革新的な医薬品・医療機器の創出や介護ロボットなどの新産業創出、医療サービスと医療機器を一体化した海外展開などにより、2020年度までに50兆円の需要と284万人の雇用を創出する目標を定めた。
今後、2012年度補正予算では剰余金などの一部を日本再生戦略関連に充て、2013年度予算概算要求では一般歳出の中に特別枠を設けて充当することを検討する。
日本再生戦略は、2010年6月に政府が閣議決定した「新成長戦略」を、昨年の東日本大震災を受けて見直したもので、基本的な内容は新成長戦略を踏襲している。ただ、予算については、今回初めて「社会保障分野を含め、聖域を設けずに歳出全般を見直す」という表現を追加。行政事業レビューの結果や会計検査院の指摘などを予算に確実に反映させる方針を示した。
日本再生戦略では医療・介護の分野について、(1)革新的医薬品・医療機器創出のためのオールジャパンの支援体制、臨床研究・治験環境などの整備、(2)医療機器・再生医療の特性を踏まえた規制・制度などの確立、先端医療の推進、(3)15万人規模のバイオバンク構築による東北発の次世代医療などの実現、(4)ロボット技術による介護現場への貢献や新産業創出/医療・介護など周辺サービスの拡大──の四つを重点施策に掲げている。
(4)については、2013年度までに介護ロボットの安全性や性能の評価手法を確立した上で、2015年までに介護ロボットを1000~5000台導入するという工程表も明示。必要に応じて公的給付の適用なども検討する。
また、アジアを中心とした海外の需要に対応するため、外国人患者の受け入れだけでなく、医療サービスと医療機器を一体化させたり、医療・介護システムを組み合わせた海外展開などを積極的に支援する。