
富士通は、「富士通フォーラム 2010」(5月13日~14日開催)で、ICカード型診察券と電子カードホルダーを使った再来受付、診察待ち人数などを表示する患者案内ソリューションを参考出展した。2010年秋の販売を検討しているという。富士通フォーラムは、同社の製品・ソリューションを網羅した展示会と、それに関連した講演・セミナーで構成されているイベントである。
患者は来院した際に、まず受付でICカードリーダーを搭載した電子カードホルダーを受け取る。続いて、持参したICカード型の診察券をホルダーに差し込むと、電子カルテシステムと連動して再来受付が完了する。電子カードホルダーの画面には、診察待ち人数、呼び出しが随時表示される。診察室で待っていなくても、病院内であればどこにいても情報を受け取ることができる。
このソリューションの特徴は、電子カードホルダーに無線通信機能を実装し、病院内に設置された無線アクセスポイントを介して、常に待ち人数の情報や呼び出しを受けられること。無線通信には、富士通独自の無線技術(IEEE 804.15.4準拠)を使った大規模無線通信システムを採用しており、1つのアクセスポイントで、1分間に840台の電子カードホルダーと通信可能。また、電子カードホルダーの表示部分には、富士通研究所が開発したカラー電子ペーパー(注)が採用されており、週1回の充電で運用が可能という。

同ソリューションは現在、グループの富士通病院(神奈川県川崎市)で実証実験を行っており、今秋に販売開始を検討している。ただし、現在はカラー電子ペーパーが高額であるため、普及には同製品の低価格化がカギとなる。
注:表示メモリ性のある液晶パネル(コレステリック液晶)を積層した構造を持ち、コレステリック液晶が特定波長の光(赤、緑、青)を各色の層ごとに反射する特性を利用してカラー表示する。一般的な液晶画面などで多く用いられている赤緑青のカラーフィルターを用いる方式と比べて、より明るいカラー表示が可能。非常に薄いフィルム基板で実現している。
(増田克善=日経メディカルオンライン委嘱ライター)