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常勤医が3人在籍しているなど診療機能の高い診療所に、高い報酬が設定された今改定。厚生労働省の在宅医療重視の表れだ。救急や小児・周産期に関する報酬の引き上げにも、厚労省の政策誘導が見てとれる。


在宅医療・訪問看護
24時間対応の医療機関に手厚い配分 退院前後などの訪問看護も評価へ

 在宅医療は、今改定でも特に重点的に評価された分野といえる。その柱が、診療機能を強化し、24時間対応可能な体制を整えた在宅療養支援診療所(在支診)・在宅療養支援病院(在支病)に対する評価だ。

 具体的には、所属する常勤医師が3人以上で、過去1年間に緊急往診5件以上、看取り2件以上の実績を持つ在支診・在支病を「機能を強化した在支診・在支病」と定義。複数の報酬項目で、その他の在支診・在支病よりも数百点高い点数を設定した(表1)。

表1◎機能を強化した在支診・在支病の評価
※ このほか、ターミナルケア加算・看取り加算(図1)、在宅患者緊急入院診療加算(有床の医療機関のみ算定)についても、機能強化型の在支診・在支病を手厚く評価
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 注目されるのは、複数の医療機関が連携しても同様の点数を算定できるようにした点。要件は、(1)患者からの緊急時の連絡先を一元化、(2)患者の診療情報の共有を図るため月1回以上の定期的なカンファレンスを実施、(3)連携する医療機関数が10未満、(4)病院が連携に入る場合は200床未満の病院に限る──というもの。今後、24時間対応が難しいことなどを理由に在支診を届け出ていなかった診療所同士が連携する動きが出てくると予想される。

図1◎在宅での看取りの評価

 増大する在宅での看取りのニーズへの対応も、在宅分野の大きなテーマだ。今改定では、ターミナルケアの評価を拡充。在宅ターミナルケア加算を「ターミナルケア加算」と「看取り加算」に分け、別々に算定できる形に改めた(図1)。

 これまでは終末期の患者を手厚く診ていても、看取りを別の医療機関が行ったり、患者が死亡する直前に家族の意向で病院に搬送されるなどして、在宅ターミナルケア加算を算定できないケースが少なくなかった。今回の見直しにより、ターミナルケアと看取りを別々の医療機関が行った場合でも、ターミナルケア加算と看取り加算をそれぞれが算定できるようになる。

 特別養護老人ホームでの看取りの評価も拡充する。在支診・在支病または特養の協力医療機関の医師が特養の配置医師と連携して入所者を看取った場合、死亡日からさかのぼって30日間は医療保険の給付対象とした。

 このほか、スムーズな在宅移行を図る観点から、訪問看護の評価を手厚くしたのも今改定の特徴だ。要介護認定者にも退院直後2週間は医療保険で訪問看護の提供を認めるほか、入院医療機関が訪問看護ステーションと連携して退院時指導を行った場合にも退院時共同指導料2を算定可能とした。さらに、職種間の協業も評価。看護師の負担軽減を図る狙いから、複数名訪問看護加算に、看護師が看護補助者と訪問した場合の点数(300点)を新設した。