政府は2011年12月24日、2012年度予算案を閣議決定した。厚生労働省予算案は前年度比7.9%減の26兆6873億円。一見すると2011年度より圧縮されているが、年金交付国債(仮称)や東日本大震災復興特別会計(仮称)などの費用を含めると実質的には29兆円超となり前年度を上回る。予算案の26兆6873億円のうち、社会保障関係費には同8.1%減の26兆2152億円を充てた。
今回の予算案は、社会保障と税の一体改革のために「必要な社会保障の機能強化と社会保障全体の持続可能性の確保」を柱に据えた。医療・介護分野では「地域の実情に応じたサービス提供体制の効率化・重点化と機能強化」と「社会保障制度のセーフティーネット機能の強化・給付の重点化」の二つをテーマとして掲げている。
医療分野では、2012年度診療報酬改定において全体で0.004%の引き上げを行うため、10兆1962億円を計上。医療提供体制の機能強化には 588億円を充てた。このうち、チーム医療の普及推進に2億4000万円を新たに割く。加えて新規の項目としては東日本大震災の復旧・復興のため、医療情報連携・保全基盤の整備に9億5000万円を充てる。
介護分野では、2012年度介護報酬改定の1.2%引き上げに伴い2兆4033億円を計上。さらに、市町村介護予防強化推進事業に2億8000万円を新規に割り当て、閉じこもりやうつ症状などで予防通所介護サービスの利用が困難な高齢者に効果的な予防訪問介護プログラムの開発を進める。
このほか、医療と介護の双方に関係する項目として、在宅サービスの拠点を充実させるため地域介護・福祉空間整備推進交付金13億円の中で、2012年度に新設する定期巡回・随時対応型訪問介護看護や複合型サービスの拠点整備に必要な備品購入費を支援。併せて地域介護・福祉空間整備等施設整備交付金など 57億円の中で、小規模な養護老人ホームの整備をバックアップする。さらに、在宅医療推進のため在宅チーム医療を担う人材育成に1億1000万円を、地域包括ケア多職種協働推進等事業に7億7000万円を充当する。
