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職員削減で退職金が発生

 両年度末の貸借対照表を丹念に見比べると、その理由が分かる。2009年度は、負債の項目に2億1500万円余りの未払金が計上されているのだ。 2008年度にも未払金はあるが、その額は130万円に満たない。関係者によれば、この年浄風会は看護師らの人員削減を実施した。しかし、退職金の原資を調達できず未払いとなったという。

 その上、看護師の削減に伴い患者の受け入れを制限せざるを得なくなり、最終的に50床規模へと縮小を余儀なくされた。これが、2010年度以降の事業収益の減少の主因とみられる。

 一方、2008年度末には1億4270万円となっていた土地の金額が、2009年度末には8749万円に引き下げられている。土地や建物が期待通りの収益を上げられなくなったと判断された場合に、一定の条件の下に価値の減少分を費用に計上する「減損処理」を行ったとみることができる。

 人員削減による退職金と固定資産の減損処理によって、浄風会の2009年度決算は大幅な赤字となったようだ。

 さらに、2009年度末と2010年度末の貸借対照表を見比べると、返済期限を1年以内に迎える短期借入金の金額が大幅に減少しているのが目につく(下表)。4億6250万円から6405万円へと減っているのだ。

表◎医療法人浄風会の貸借対照表(2009、2010年度)
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 これに対し、長期借入金の金額は3億8038万円から8億2608万円へと増えており、長期・短期借入金の合計金額も5000万円近く増加している。期限の迫った短期借入金の返済を繰り延べた結果だろう。

 また、2009年度末に5億7973万円だった「建物構築物」が、2010年度末には「建物」3億1341万円となっている。構築物を取り壊したとすれば、多額の特別損失を計上するはずだから、そうではなさそうだ。過去の決算を修正する目的で、建物の未償却分をこの機に費用化したとみるべきだろう。