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国民には負担増が目白押し

 今回はほかにも、医療機関にとってマイナスに作用しかねない特殊な事情が複数横たわる。この先、国民に痛みを強いる改革が目白押しなのだ。

 まず、来年度から順次始まる復興のための臨時増税。法人税や所得税、個人住民税が増税の対象となる。既に11月30日、関連法案が国会で成立済みだ。

 消費税率の引き上げも、にわかに現実味を帯びてきた。政府は今年6月に策定した社会保障と税の一体改革案に、社会保障財源確保のため、消費税率を2010年代半ばまでに10%に引き上げる旨を明記。来年の通常国会に照準を合わせて消費税増税のための法案提出を狙う。

 さらに同改革案には、高所得者の年金給付見直しや医療機関窓口での受診時定額負担といった新たな給付削減、負担増につながる内容も並び、実施に向けた具体的な議論が既に始まっている。

 これだけ国民に痛みを強いながら、片や「医療は聖域」として診療報酬の増額に踏み切れるのか、政府は難しい判断を迫られる。

 こうした状況を背景に、与党からは「国民に負担を強いる以上、現実問題として医療にお金を回すのはかなり難しい。落としどころは、全体でプラスマイナスゼロに限りなく近い改定率では」(民主党の中堅議員)との見方が出ている。全体ゼロとは、市場実勢価格に応じて見直す薬価や医療材料価格の引き下げによって生じた財源をすべて診療報酬本体の改定財源に振り向けるが、国費の投入は一切なしという意味だ。

 薬価などの引き下げ分を本体の改定財源に充当するのは、過去の報酬改定で行われてきた常とう手段。改定を熟知する関係者の間では、「ネットでゼロ%」を巡る攻防になるという見方が大勢を占める。

 だが、財務省は「薬価などの引き下げ財源を診療報酬本体の引き上げに使うことがルール化されているわけではない」(主計局主計官の新川浩嗣氏)とけん制する。「喫緊の課題は被災地の復旧・復興。復興のための費用が足りなければ、あらゆるところから財源を集めなければならない」とも話しており、暗に薬価・材料価格の引き下げ分の国庫繰り入れを求めている。

 今回、薬価などの引き下げで浮くことになる国庫負担は1000億円程度とみられる。現在のところ、そのうち200億~400億円程度が復興財源に振り向けられる可能性が出ている。仮に200億円が復興財源に回された場合、改定率はネットでマイナス0.3%程度、本体でプラス1%程度となる計算だ。

「2025年モデル」の実現目指す

 次期改定の中身については現在、中央社会保険医療協議会で審議が進められている。最大の特徴は、前述の社会保障と税の一体改革案が示す2025年の医療・介護提供体制のあるべき姿を志向している点だ。

 「2025年モデル」の具体的なイメージは図2上の通り。限りある医療資源を有効に使いながら超高齢社会に対応するため、今まで以上に入院医療の機能分化・強化、連携を推し進めるとともに、在宅医療の充実を図る。介護との連携も進め、地域住民がいつでも必要な医療・介護サービスを受けられるようにする。

図2◎社会保障と税の一体改革案に示された「将来像に向けての医療・介護機能再編の方向性イメージ」と次期診療報酬改定のキーワード
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 この先、2025年を迎えるまでの診療報酬改定は計7回。うち3回は介護報酬との同時改定だ。2025年モデルを実現するには、医療と介護双方の提供体制の大がかりな見直しが必要。その意味で、同時改定が大きな役割を果たす。

 次期改定は、その同時改定の1回目。従って、2025年モデル実現への一里塚となるよう工夫を凝らした評価方法も鋭意検討されている。

 なお、図2下に現時点で見えてきた次期改定のキーワードを示した。中医協による新点数の答申は、来年2月の予定だ。