ついに「24時間訪問サービス」の厚生労働省案が示された。報酬は包括払いで、訪問介護と訪問看護をそれぞれ別建ての設定にする。指定基準では、オペレーションセンターは設置しなくてもよいほか、深夜の訪問業務の委託を認めている。厚労省案の内容を徹底解説する。
2012年度介護保険制度改正に伴い、来年4月に創設される新サービス「定期巡回・随時対応型訪問介護看護」(以下、24時間訪問サービス)。その指定基準と介護報酬支払い方式の厚生労働省案が、9月22日の社会保障審議会・介護給付費分科会で、ついに明らかになった。今後、分科会の委員の意見を基に細部が修正される部分はあるが、新サービスの骨格は、ほぼ見えたといっていい。
今回の制度改正の基本コンセプトは「地域包括ケアシステム」の実現。交通手段を問わずおおむね30分以内で移動できる「日常生活圏域」で、介護、医療、住まい、生活支援サービスを一体的に提供する体制づくりを目指す。24時間訪問サービスは、これを実現する上での切り札と位置づけられている。
いつでも駆けつける安心感が売り
24時間訪問サービスとは、スタッフが要介護者の求めに応じていつでも居宅で介護を提供するもの。身体介護を中心に短時間のケアを1日複数回行う「定期巡回」サービスと、利用者からの通報を受けて必要に応じて駆けつける「随時対応」サービスからなる。
現行の訪問介護では、週に1回から数回30分以上滞在し、身体介護や生活支援サービスを提供するケースが多い。だが、状態の変化が大きい中重度要介護者に対して柔軟に対応できない弱点があった。そこで、短時間で頻回の訪問ケアが必要と国は判断した。
訪問介護に加え、訪問看護を適宜提供するのも特徴。新サービスにより、中重度者が施設サービスだけでなく、住み慣れた自宅で生活し続けられる「限界点」を高めるのが狙いだ。
改正介護保険法では、新サービスの提供方法を2種類規定している(図1)。一つは、要介護者に対して同一事業所内で訪問介護・看護サービスを両方提供する「介護・看護一体型」。もう一つは、自前で訪問介護を提供しつつ、訪問看護を訪問看護ステーションと連携して提供する「介護・看護連携型」だ。両者ともオペレーターが要介護者からの相談や緊急通報に応じ、必要に応じて訪問スタッフに「出動」を指示する。法律上、新サービスは地域密着型サービスに位置づけられているため、事業者の指定は市区町村が行う。