医療・介護保険の財源確保のため、社会保障・税一体改革成案には保険制度の見直し案が数多く盛り込まれた。今後は、保険給付範囲の縮小などが議論の俎上に載り、実行に移されそうだ。
2025年度の医療費は2011年度の1.6倍、介護費は2.5倍まで上昇する──。2011年6月の政府の「社会保障改革に関する集中検討会議」では、医療費と介護費の将来推計値が示された(図1、2)。そこには2025年にかけて、財源となる公費、保険料、自己負担の額が、それぞれほぼ同じ割合で増加するという将来像も示されている。
公費について、社会保障・税一体改革成案は消費税増税を財源の軸としているが、その効果には限界がある。東京大学大学院経済学研究科教授の吉川洋氏は「今後の社会保障費の増加は、消費税増税による公費の充当では到底賄いきれない」と話す。保険料、自己負担による財源確保ができないからといって、際限なく公費で補うことは現実的ではない。
そこで一体改革成案では、2025年の財源構成を無理なく達成するため、保険料や自己負担の増加につながる施策を打ち出した(表1)。