例えば、セルには、製造中やパネルの搬送中に、目に見えないクラック(割れ)が生じることがある。クラックは当初、小さくても、稼働後に徐々に大きくなり、出力に影響する場合もある。京セラでは、パネルの強度設計の段階でクラックが入りにくいよう配慮し、出荷時にはEL検査(EL発光画像撮影)という手法でクラックの有無を検査する。さらに、提携する施工業者に対し、クラックを生じさせない施工方法を指導している。また、顧客目線の設計例としては、低い設置角度でもホコリとともに雨水が流れ落ちやすくする「防汚タイプモジュール」が挙げられる(図8)。パネルのフレームに凹状の水切り加工を施した。

図8●ホコリとともに雨水が流れ落ちやすくする「防汚タイプモジュール」。京セラは、この水切り加工で特許を取得した
(出所:京セラ)
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科学的な耐久性能の評価手法が課題に

 同社は2011年1月、テュフ ラインランド ジャパンによる太陽電池性能品質に関する「長期連続試験」の認証を、太陽電池業界で初めて取得した。この試験の特徴は、IECよりも過酷な条件下での試験を1枚のパネルを使って連続的に実施すること。「高温高湿」「温度サイクル」「結露凍結」「バイパスダイオード」の4項目を連続で試験し、各段階の終了ごとに出力性能を測定する。IECの基準では、それぞれの試験ごとに別のパネルを使っている。テュフ ラインランドの「長期連続試験」は、1枚のパネルが複数の環境ストレスを受ける、自然状態での設置に近づけるのが目的だ。

 ただ、京セラの本多主幹技師は、「こうした過酷な条件での加速劣化試験は、耐久性能を評価する目安にはなるが、太陽光パネルの将来の劣化状態を完全に再現できているわけではない。これは太陽電池業界全体の課題で、科学的に将来の劣化や出力低下を予測できる手法を確立する必要がある」と言う。1つか2つの環境ストレスに曝して劣化を加速させる試験はできるが、実際の自然環境では、もっと多くのストレスが同時に加わる。こうした複合的な環境要因を実験室で再現することは容易でないという。

 メガソーラーに融資する金融機関の要請もあり、20年など長期保証を付けるパネルメーカーも多い。だが、これはパネルの耐久性能を科学的に裏打ちしたものではなく、メーカーの経営判断によるところが大きいのが実態だ。本多主幹技師は、「京セラの太陽電池ビジネスの歴史の長さは、フィールドで技術を検証してきた長さとも言える」と振り返る。30年以上にわたり、常に太陽電池開発の先端にいた本多主幹技師の抱く、長期耐久性への本質的な問題意識そのものに、品質に対する同社の真摯な姿勢が表れている。