――計測データの取得に目が向きがちだが、データを正しく解釈できる技術者が少ないということか。

吉富電気 吉富政宣氏
(撮影:森田 直希)

吉富 計測ばかりが強調されると、計測データの取得だけで満足してしまうことになりかねない。これは、いわば誤った達成感とも言える。物理量で示されるデータは、あくまで何らかの原因によって生じた現象が示す結果の一つにすぎない。

 計測や現場点検の目的は、原因を探り当てて、対処することにある。そのためには、計測データを解釈し、状況を診断できる能力が求められる。重要なのは、「点検員」の育成ではなく、計測データを解釈できる「技術者」の育成だと感じている。

加藤 発電量の遠隔監視は、太陽光発電システムの安全性確保の必要十分条件とはならない。

――例えば、発電性能が維持されている状態でも、火災が発生するといった、安全性能が損なわれている可能性があるということか?

吉富 そういうこともある。監視装置のデータからは、発電性能が健全な状態に見えたとしても、例えば、太陽電池モジュールの安全装置ともいえるバイパスダイオードの開放型故障は見えない場合がある。バイパスダイオードが開放した状態で日陰がかかったり、セルにクラックが入ると、火災に至る可能性が高くなる。米国では既に、建物延焼に至る寸前の状態が報告されている。

 そこで、赤外線カメラを使って太陽電池モジュールの温度を計測し、異常を把握する監視サービスも出てきている。しかし、その手法を併用しても、太陽光発電システムと地面が電気的に接続される「地絡」の検出機能は、市販の装置のほとんどには組み込まれていない。

産業技術総合研究所 太陽光発電工学研究センター システムチームの加藤和彦氏
(撮影:森田 直希)

加藤 地絡の検知は、現在、パワーコンディショナー(PCS)が担っているが、PCSでは検知できない場合もある。こうした異常が生じた時に、発電が止まればよいが、太陽光発電の場合、そうはいかない。

 太陽光発電と、他の発電技術との決定的な違いは、日光が太陽電池モジュールに照射している間は、発電が止まらないところにある。

 これまで紹介してきたような、太陽光発電ならではの特徴を正しく理解し、起こりうるリスクに真摯に向き合う企業や関連従事者がより増えてほしい。そうなって初めて、太陽光発電は、社会や暮らしに欠かせないインフラとして、根付いていくと思う。