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視力が0.0003から0.0012に向上

 2014年1月には第2世代品の開発に成功した。各電極に電気信号を分配するマルチプレクサICを眼球に埋め込むことにより、49チャネルすべてを動作させられるようにした。各電極は直径500μmで、これを750μmピッチで7×7個並べる。デコーダICとマルチプレクサICは、奈良先端科学技術大学院大学 教授の太田淳氏のグループと共同開発した。

 同年1月30日に、重度の網膜色素変性症の患者(63歳の女性)に第2世代品を埋め込む手術を行った。この結果、しきい値電流が1mA以下だった27個の電極を動作させることができた。ディスプレーに一定の間隔で位置を変えて表示する図形を指さす試験を術後に行ったところ、術前に比べて成績が向上したという。視力は術前の0.0003から0.0012に向上した。

3年以内をメドに薬事認証を目指す

 これまでの検証を通じて、人工網膜を埋め込んで電気刺激を与えると、患者の視神経が活性化(賦活)することも分かったという。例えば第2世代品を埋め込んだ患者では、人工網膜に供給する電源をオフにしても、光にかざした手の指の本数を判別できるようになった。

 ただし不二門氏によれば、人工網膜では視力を0.2程度まで回復させることが限界という。そこで今後開発する第3世代品では、視力そのものの回復以上に周辺視野を広げることに重点を置き、患者が歩行できるようにすることを狙うという。開発を進める人工網膜の実用化時期については、今後3年以内をメドに薬事認証を得ることを目指すと話した。