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“第2のSamsung”が生まれる

図3 Apple社とSamsung社に並ぶ中国メーカー
グラフは、世界のスマートフォンの年間出荷台数の推定。2010年12月から1年間の出荷台数に対し、2011年6月からの1年間では中国メーカーの出荷台数が約1.5倍に増加している。(図:取材を基に本誌が作成)
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 1000元スマホの好調で波に乗る中国メーカーは、世界規模で見ても存在感を増しつつある(図3)。スマートフォンの出荷台数を、2010年12月から1年間と2011年6月からの1年間で比較してみると、中国メーカー合計では約1億400万台から約1億5200万台へと約46%増えている。この伸びは、Samsung社の約12%をも上回る。中国メーカーが半年間でいかに急成長したかが分かる。もはやSamsung社やApple社に並ぶ第3極になりつつあり、その中から“第2のSamsung社”と呼べる世界的なメーカーが現れてもおかしくない。

 音声端末の時代には、低価格を武器にフィンランドNokia社が中国を含む世界各国で高いシェアを持っていた。中国市場での激烈な競争を勝ち残った中国のスマートフォン・メーカーは、高いコスト競争力と製品の品質を武器に、Nokia社のように世界を制覇できる可能性がある。中国の端末メーカーには、東南アジアやインドなどに音声端末を供給している企業が多い。まずは、こうした新興国市場を足掛かりに、1000元スマホの世界展開が始まることになるだろう。

 この流れは、スマートフォンに部品や部材を供給するメーカーにとってもチャンスだ。有望な中国のスマートフォン・メーカーに今から食い込んでおけば、中国メーカーの世界展開に歩調を合わせる格好で、市場シェアを大幅に高められる可能性がある。

大手2社に微妙な温度差

 中国のスマートフォン・メーカーの代表格が、世界的な通信設備メーカーでもあるHuawei社とZTE社である(図4)。

図4 メーカーの出身はさまざま
携帯通信設備メーカーから出発した大手2社のほか、多くの中国メーカーが多彩な分野からスマートフォン市場に参入している。赤い四角で囲んだのが4大メーカーである。
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 特に1000元スマホに注力しているのがZTE社だ。同社は、3.5型液晶パネルを搭載した1000元スマホ「Blade U880」を2011年に中国で発売し、ヒットさせた。2012年秋にはデュアルコアのアプリケーション・プロセサを搭載した1000元スマホを投入する計画だ。同社 副総裁 兼 モバイルマネージメント部ジェネラル・マネージャーのWang Yong(王勇)氏は「中国は当社の本拠地だ。中国人のニーズもうまく把握できないようでは、グローバル市場で優れた製品は出せない」と力を込める。

 一方、Huawei社の軸足は、ZTE社よりも上位機種寄りである。Huawei社のスマートフォンのブランド「Ascend」は、「D(Diamond)」「P(Platinum)」「G(Gold)」「Y(Youth)」の四つのラインから構成されている。1000元スマホに相当するのはYシリーズだが、「Ascendブランド全体の一部にすぎない」(同社)と、あまり積極的ではない。同社は、2012年前半にPシリーズやDシリーズのハイエンド製品を国際的なイベントで相次いで発表。同年6月に中国・上海で開催された「2012 Mobile Asia Expo」でも、これらを大々的にアピールしていた。同年秋には日本にもDシリーズを投入する計画だ。

 両社の1000元スマホに対する取り組みの差は、部品調達にも表れている。中国の液晶パネル事情に詳しいテクノ・システム・リサーチ アシスタントディレクターの岸川弘氏は「ZTE社は、安価なスマートフォンでは小規模メーカー製の低コストの液晶パネル・モジュールを積極的に採用している」と語る。Huawei社もそうした低コスト部品を使うことはあるが、ZTE社よりも少ないという。