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台風の目になる小米

 上位2社以外にも、中国には有力なスマートフォン・メーカーがひしめいている。Lenovo社は、中国でも日本と同様に主にパソコン・メーカーとして知られている。Yulong社は、「Coolpad(酷派)」というブランドでスマートフォンを販売している(図5)もともとはCDMA方式の音声端末を手掛けていたメーカーで、1000元スマホの波に乗って一気にシェアを伸ばした。ビジネス向けの携帯電話機を提供していたことから、中国では「HTC 社のような高級イメージ」(山根氏)があるという。

図5 中国の店頭での地場メーカー製品
店頭ではSamsung社やHTC社の製品が目立つが、CoolpadやK-Touchといった中国メーカーのブランドの製品も並べられている(a、b)。OPPO社やMeizu社は自社製品の専門店を持っている(c、d)。
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 山寨機メーカー出身なのが、中国Tianyu Communication Equipment社(天宇)である。「K-Touch(天語)」のブランドで知られている。山寨機では大手メーカーだったが、スマートフォンではやや苦戦中だ。携帯型音楽プレーヤーを手掛ける中国OPPO Electronics社(欧珀)や中国Meizu Technology社(魅族)は、おしゃれなイメージを売り物にしている。

 こうしたメーカーの中で異色の存在が、中国Xiaomi社(小米)である。もともとAndroidベースのカスタム・ファームウエア「MIUI」を提供していた企業で、2011年秋に同社初のスマートフォン「Mi One」を発売した(「中国で大人気だが、内部構造には課題が多い『MiOne』」参照)。1.5GHz動作のデュアルコア・プロセサを搭載しながら、価格が1999元(約2万5000円)というコストパフォーマンスの高さで、中国で大ブームを巻き起こした。さらに2012年8月16日には、プロセサの動作周波数を1.7GHzに向上させた「Mi1S」とクアッドコア・プロセサ搭載の「Mi2」を発表した。同社の中国での注目度は抜群で、今後の台風の目といえる。

復調の兆しが見えるソニー

 中国メーカー以外で存在感があるのは、やはりSamsung社とApple社だ。特にSamsung社は、ローエンド機種からハイエンド機種まで取りそろえ、ラインアップに隙がない。

図6 存在感を取り戻すソニー
写真は、北京の地下鉄の駅に掲示してあった電飾看板。自社製品「Xperia」に統一的なデザインを採用することで、中国でもブランドとして認知されつつあるという。
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 中国のスマートフォン市場の急拡大は、本来は日本の端末メーカーにとっても大きなチャンスだ。しかし残念ながら、中国市場では日本メーカーの存在感は皆無に等しい。唯一の例外が、ソニーの100%子会社である英Sony Mobile Communications(SMC)社である。中国のスマートフォン・メーカーの内部事情に詳しい専門家は「スウェーデンEricsson社との合弁を解消したことで決断のスピードが上がり、ソニーらしい製品が出始めた」と指摘する。2012年前半の3カ月で中国でのシェアが2倍になったとするデータがあるという。山根氏は「『Xperia』のデザインを大胆に統一することで、中国でもソニーのイメージを植え付けることに成功している」とみる(図6)。

 他の日本メーカーも諦めるのはまだ早い。「パナソニックやシャープは家電ブランドとしての知名度はある。やりようはあるはず」と先の専門家は語る。SMC社中国法人 Vice Presidentの瀬尾雄司氏は「中国メーカーの1000元スマホは脅威だが、単に同じ価格帯の製品を出すのではなく、価格差以上の付加価値を提供してユーザーに問うことが中国メーカーとの戦い方だと考えている」と語る。