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MediaTekの巻き返しなるか

 中国の携帯電話機の主流が山寨機から1000元スマホに移ることで、端末メーカーは大きな変化に直面している。この流れに影響を受けているのは端末メーカーだけでない。通信用チップセット・メーカーの勢力図も大きく変化している(図7)。

 山寨機では、台湾MediaTek社が事実上独占的に通信用チップセットとリファレンス設計を提供していた。深圳に数百社あると言われる山寨機専業の設計開発受託企業(デザイン・ハウス)が、MediaTek社のリファレンス設計に沿って部品を実装した基板(中国ではこれをPCBA:printed circuit board assemblyと呼ぶことが多い)を端末メーカーに提供。端末メーカーでは、これに液晶パネルや筐体、電池などを組み合わせるだけで製品が完成していた。

図7 複数のプラットフォームを選択できる
山寨機のプラットフォームは、MediaTek社のリファレンス設計が事実上独占していた。1000元スマホ向けには、Qualcomm社、MediaTek社、Broadcom社の3社がリファレンス設計を提供し、しのぎを削っている。
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 一方、スマートフォンでは、圧倒的なシェアを持つ米Qualcomm社が低価格機向けのリファレンス設計も押さえてしまった。中国の1000元スマホは、同社の「MSM7227A」を搭載しているものが多い。

 スマートフォンでの出遅れを挽回するため、MediaTek社は2011年に3G通信向けSoC「MT6573」の出荷を開始。これを搭載したLenovo社の1000元スマホの売れ行きが好調だ(第3部「完成度は十分だが山寨機の面影残す製品も」参照)。

 低価格のスマートフォンに向けては、米Broadcom社もリファレンス設計を提供している。先の専門家は「Qualcomm社やMediaTek社よりも低価格でLSIを提供しているようだ」と語る。同社の「BCM21552」は、Samsung社のローエンド製品「GalaxyY」などに採用されている(図8)。

図8 Broadcom社のSoCを採用したSamsung社の「Galaxy Y」
写真は、2012年6月に中国・上海で開催さ れたイベント「2012Mobile Asia Expo」でBroadcom社が展示していたもの。
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 1000元スマホは、こうしたリファレンス設計をそのまま採用することが多い。部品メーカーが市場シェアを高められるかどうかは、端末メーカーによる採用に加え、主要なリファレンス設計の推奨部品として採用されるかどうかがカギを握る(第4部「中国スマホが生む『部品特需』、ローエンド端末にも商機あり」参照)