リテラシー・ギャップの解消と悪質業者の放逐

村上 小規模な発電事業に関して言うと、悪質な流通業者の問題が残っているとみている。かつて布団の訪問販売などに見られた押し売り的な営業で大きな利ざやを稼ぐ手法だ。こうした販売スタイルの販売員が小規模太陽光発電の市場に紛れ込んでいる。流通業者が過剰に利益を確保することで、建設事業者が苦しむ状況になっている。

 こうした構造になるのは、発電事業者のリテラシー(情報の読み取り能力)が低いために、少し勉強した、いい加減な流通業者が簡単に過剰な利ザヤを抜けるからだ。

 固定価格買取制度が始まる前から形成されていた住宅用太陽光発電市場では、補助金制度において建設費の上限額を定め、販売価格を下げさせた。ポイントは、流通価格と消費者への卸値を考慮して補助金の額を決めたことで、過剰な流通マージンを確保しにくく、悪質な業者が関わる余地が少なかった。

 しかし、固定価格買取制度が始まった当初の小規模な事業用太陽光発電では、販売手法に問題のある流通業者が関わる余地があった。流通事業者のなかには悪徳な価格で販売しないよう営業員に注意している場合もあるが、現場の営業員には、数年前まで、布団などで悪質な訪問販売に関わってきている者もいる。

 営業担当者を拡充しないと、事業が拡大しないために、小規模の流通事業者は、こうした営業担当者であっても、雇わないと数を売れない。問題のある販売手法を注意しても、逆に「わたしに物を売れというのか、売るなというのか」などと、開き直られてしまったなどという話も聞く。

経済産業省 資源エネルギー庁 新エネルギー対策課の村上敬亮課長

 ただ、こうした「リテラシー・ギャップ」からくる問題のある販売手法は、急速に伸びていく市場では、過渡的に避けられないともいえる。

 太陽光発電市場の健全な成長を促すポイントの1つはここにある。リテラシー・ギャップが残っている限り、少し勉強をした流通事業者が参入し、いい加減な商売をして、過剰な利ザヤを稼げる。その間は、利ザヤが過剰に抜かれてしまうので、発電事業者や建設事業者は、苦しい立場に追い込まれる。

 今年度の買取価格を決める調達価格等算定委員会では、小規模設備のIRRが相対的に低いという声もあった。そこで出力50kW以下の発電設備の買取価格を区分して、その区分は価格を維持する(下げない)ことの是非が議題となった。この論議は、こうした流通業の実態を踏まえると、国民の人気を狙うか、悪質な流通業者対策を狙うかという側面があった。

 価格を下げなければ、国民の人気は得られるかもしれないが、悪質な流通業者は居残ることになる。価格を下げれば、流通業者の一部は市場から出ていくけれど、リテラシーが低い発電事業者は苦しむことになる。

 幸いにも、出力50kW以下の発電設備でも、多くが6%以上のIRRを実現できるという統計データが集まり、買取価格の策定上、分割する必要がなくなった。

――ただし、調達価格等算定委員会の議論でも一部の委員が話題にしたように、市民ファンドなどによる小規模なシステムを対象にした太陽光発電ファンドの利率は低い。

村上 コスト構造に問題があることに加えて、発電所の建設手法などに課題があるからとしか考えられない。出力50kW以下の発電所でも、その半数以上でIRRが6%以上となっているのだから…。しかも、本当の意味での市民ファンドには、後で何を言われるかわからないというリスクから、悪徳な流通業者は近づかないので、過剰な流通マージンを抜かれていることは少ないはずだ。