「邸別出荷」を支えるピッキング技術

 太陽光パネルを載せる住宅屋根は実に千差万別で、瓦屋根に限っても数百種類は下らない。主なものだけでも数十種類はあると言われる。屋根に合わせて、架台を構成する部材のサイズや配列、支持金物やボルトもサイズや本数が変わる。住宅用架台はオーダーメイドに近い性格を持っている。納入する部材や部品を取り違うと現場で施工できなかったり、無理に施工した場合、不良の原因になったりする。1棟ごとに異なる部材の組み合わせを、1点の間違いもなく納品するのは簡単ではない。当時、住宅用架台の物流は、架台メーカーがロット単位で各部材をパネルメーカーに納入し、それをパネルメーカーが仕分けることが多かった。

 パネルメーカーが住宅用建材を扱う奥地建産に目を付けたのは、こうした架台物流が背景にあった。かつてプレハブ住宅は、設計を標準化し部材のほとんどを工場生産することで低コスト・短工期を実現して戦後の住宅不足の緩和に一役買ったが、1980年代以降はプレハブも1棟ごとに設計や間取りが異なる“自由設計”が主流になる。奥地建産は住宅市場の変化に対応するため、住宅1棟ごとに異なる部材の組み合わせを1つに束ねて納品できる出荷体制をいち早く構築した。「一棟一式」とか「邸別出荷」と呼ばれるもので、これが今日も同社の1つの強みになっている。

 邸別出荷は、多数の部品群から必要なものを必要な数だけ取り出し、仕分けするピッキングの正確さと速さが鍵を握る。奥地建設は、納品データに基づいて表示器がピッキング作業を支援するデジタルピッキング技術を導入するなど「ピッキングミスゼロ」を目指してきた。作業者の練度向上と合わせてミスは100万分の1個以下のオーダーを達成しているという。「架台を設計し、部材を加工できたとしても、最後の詰めであるピッキング精度をどこまで確保できるかが住宅向けでは重要になる。その点、我々は手慣れていた」と奥地誠社長は打ち明ける。同社はこうして大手パネルメーカーの住宅用架台の製造を請け負うようになったという。