家族の不安を解消する在宅復帰支援シミュレーター

 在宅復帰支援シミュレーターは、退所後の在宅生活を想定した居宅サービスの組み合わせと、そのサービス単位が利用者の区分支給限度額に収まるかどうかを自動判定するもの。1カ月に短期入所や通所リハビリ、訪問リハビリなどを何日利用し、訪問介護ヘルパーを何回派遣するかといったサービスの組み合わせで、サービスの合計単位がどれくらいになり、自己負担額がいくらになるかを利用者家族に提示するツールである。

 「在宅介護でどのようなサービスを利用すべきか、それによってどれほど介護の負担を軽減できるかは、家族にとって、在宅復帰に伴う大きな課題です。また、サービス利用にどの程度の費用がかかるのかについても、家族は大きな不安を感じています。そこで、家族の要望に応じてサービスの組み合わせを柔軟に変更し、想定される自己負担額を即座に提示することで、家族の納得のいく説明を可能にしようと開発したのが、在宅復帰支援シミュレーターです」(齊藤氏)。

 従来は、支援相談員が手書きやワープロで作成した資料を基に家族に説明していたが、作成は煩雑で手間がかかり、家族の要望で利用するサービスを変更すると資料を作り直さなければならなかった。在宅復帰支援シミュレーターでは、当該月のカレンダー画面上で利用するサービスを選択していくだけで簡単にシミュレーションできるため、利用サービスを変更したときにも、すぐに自己負担額などを家族に提示できる。

在宅復帰支援室室長の笹島みつ子氏

 「以前は、カレンダーを表示した用紙に通所リハビリや訪問リハビリが何曜日、ヘルパー派遣が何曜日など、利用するサービスを書き込み、1回1回サービス合計額と自己負担額を計算して提示していました。iPadで在宅復帰支援シミュレーターを利用することにより、相談室で家族と面談しながら、要望に沿ってサービスを自在に組み合わせて負担額を提示できるようになりました」(在宅復帰支援室室長の笹島みつ子氏)。

 在宅復帰支援シミュレーターによる説明は、入所前、入所直後、退所前に行うことを基本としているが、家族の理解を深められるよう、必要に応じて活用しているという。在宅復帰支援シミュレーターを使う本来の目的は、自己負担額を提示して家族の不安を解消するためのものだが、それ以上に重要なのは、職員がそれぞれの専門的な立場から入所者にどのようなアプローチを行っているか、それによってADL(日常生活動作)がどの程度回復し、在宅生活が可能になりつつあるのかを家族に知ってもらうことにある。なお、在宅復帰支援シミュレーターは利用者管理データベースに組み込まれていて、入所者のケア記録などを活用できるようになっている。

在宅復帰支援シミュレーターは、家族と相談しながら居宅サービスを自在に組み合わせて、自己負担額などを即座に提示できる。
[画像のクリックで拡大表示]