在宅復帰支援シミュレーターを支えるFileMakerプラットフォーム

 サンライフゆもとでは、理学療法士である齊藤氏が1996年からFileMakerを用いたシステム構築を進めてきた。これまでにケアマネージャーが利用するツール(要介護認定予測、サービス担当者会議録、R4システムに基づくケアプラン作成など)や、リハビリ部門のツール(リハビリカンファレンス、リハビリ実施計画書、個別リハビリ記録、身体機能評価表など)をはじめ、各部門向けの多くの書類作成、職員勤務管理、連絡掲示板などを構築している。

 「介護保険施行時に介護ソフトベンダーのパッケージ導入も考えましたが、市販のパッケージでは、当施設で伝統的に行ってきたアセスメント手法によるサービスの質を維持するのが難しく、カスタマイズの投資負担も大きかったため、FileMakerによる独自開発を選びました。当時、Macintoshを使いこなしていた理事長の勧めもあって、施設全体でFileMakerをプラットフォームとする利用者管理システムを構築してきました」(齊藤氏)と、経緯を話す。

 現在の利用者管理システムの職員ポータル画面には、連絡申し送り事項を掲載した掲示板をはじめ、過去6カ月の在宅復帰状況、過去3カ月のベッド回転状況などが表示されている。「在宅復帰率40%ライン、50%ラインまで何人かといった目標数値などを掲げるなど、現在の施設の運営状況を職員全員で共有することが、業務に対するモチベーション向上につながっています」(齊藤氏)という。

利用者管理システムのポータル画面の在宅復帰・ベッド回転状況の共有は、職員の業務モチベーションにつながっている。
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 在宅復帰支援シミュレーターとリレーションしている情報(データベースのファイル)は、入所者管理台帳(R4システムにおけるA1、A2インテークシート)、生活機能アセスメント情報(R4システムのA3シート)、各専門職の情報(ケアプランに記載する各職種の考え方など)、ケアプラン総合計画書、栄養評価情報、リハビリ実施計画書、iPadなどを用いてリハビリ実施状況を写真・映像で記録したファイルなど。これらをFileMaker Serverで管理し、FileMaker Proをインストールしたデスクトップ端末(Macintosh)25台と、リハビリ現場や相談室で用いるiPad10台で運用している。

 在宅復帰に向けて家族にどのような情報を提供すれば理解してもらえるか、工夫を重ねたと齊藤氏は話す。その中で、意外にも効果的だったのはリハビリ状況の写真や映像だった。「自宅に帰るに当たって家族が最も望んでいるのは、身体の機能が改善すること。入所によってどの程度、動作回復しているのかを示すのに写真・映像は効果的でした」(笹島氏)。リハビリ室の理学療法士はほとんどがiPadを使用しているため、カメラ機能を使った写真や動画の撮影は簡単。iPadからシステムへのデータ取り込みの容易さも、FileMakerならではの機能だ。

動作回復状況を伝える際に、家族が最も理解しやすいのが、リハビリ中の写真や映像だという。
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