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ユーザー満足度が高いユーザーメード医療IT

 松波総合病院が新たな病院情報システムにおいてもFileMakerで開発したCSSを業務基盤の中心に据えている理由は、医療者の業務を効率化し、かつストレスなく臨床業務を行えるツールであるからだと松波氏は強調する。日常業務を極力変えず、しかも意識せずに、医師が必要とするデータを蓄積できるよう工夫されていると同氏は評価する。

 「例えば、DPCの様式1というデータのコーディングを行う場合、多くのベンダー製システムでは、細かい文字で書かれた画面に順番に必要項目を埋めていく、非常に煩雑で退屈な作業を強いられます。また、疾患によっては不必要な項目も入力画面に存在し、決してユーザーライクとは言えません。FileMakerで自作したコーディングソフトでは必要最低限のチェックで済み、コーディングにかかる時間は数秒です」(松波氏)。診療に集中するため、医師自らが書類作成時間を短縮する工夫ができることはFileMakerの大きな利点だという。

 さらに松波氏は、ユーザーメードITでは、直感的に操作できる画面レイアウトなど、ユーザーインタフェースの最適化が容易に実現できると強調する。「重要な項目は左上から配置し、色によって受ける重要度の印象を加味する、グループ分けを意味する罫線やボックスを利用する、同じ機能のボタンはどのファイルでも同じ位置にするなどの基本を踏襲すれば、生産性が高く、トラブルのリスクを軽減できるユーザーインタフェースにすることが可能です」(松波氏)。開発者がユーザーエクスペリエンスを現場で認識し、ユーザーインタフェースを徐々に最適化できることが、ユーザーメードITのメリットだという。

CSSの新しいポータル画面。アプリケーション(ファイル)の起動ボタンは、直感的に目的のボタンへ移動できるようグループごとの放射線上に、重要度と使用頻度に応じて配置されている。
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 臨床現場でFileMakerを利用するもう1つのメリットとして松波氏は、iPadなどiOS搭載のモバイルデバイスを院内で活用することができるFileMaker Goの存在を挙げる。「現在、FileMaker Proで作成中のソリューションに、『チーム医療(褥瘡管理、ICT、NST、緩和ケアー)』があります。例えば褥瘡回診の場合、この褥瘡管理アプリをFileMaker Goを搭載したiPadで開き、ベッドサイドで所見を入力し、患部を撮影します。入力した情報は、FileMakerからProRecord Medical経由で電子カルテに貼り付けることができます。画像は携帯情報機器(PDA)などで撮影した写真よりはるかに高解像度で、カルテ上でもFileMaker上でも閲覧可能です」(松波氏)。組織横断的なチームで病棟回診することで、常に情報を共有・更新できる強力な武器になると強調する。

 まだ試作段階ではあるが、患者の点滴進捗状況をルート単位で閲覧できるアプリや、電子カルテの温度板へのバイタルデータ入力アプリなども開発中だという。「現場のニーズに応じて即座に短時間で試作できるのも大きな魅力です」(松波氏)。

 M@TRICSのインフラ構築では、仮想化環境に取り組んだのも特徴の1つ。サーバー仮想化については、部門システムを中心に仮想サーバーへ実装、FileMaker Serverも間もなく仮想サーバー上で稼動させる予定という。一方、クライアントの仮想化は、先行事例を訪問調査したが画期的な効果を上げているという印象を得られなかったため、関連施設のシステムを同一端末で参照するためのデスクトップ仮想化など一部に留まったという。

 M@TRICSは、新館のグランドオープンに向けて徐々に成長・拡張している段階だ。「今後もコアシステムの各ベンダーや、J-SUMMITSメンバーの協力を得ながら成長させることが必要です。医師をはじめとする医療者にとって働きやすく、患者さんに安心して受診してもらえるプラットフォームを目指して、今後さらにシステム改善を図っていきたいと考えています」。松波氏はこう展望した。

■病院概要

名称:社会医療法人 蘇西厚生会 松波総合病院
所在地:岐阜県羽島郡笠松町田代185-1
診療科:内科、消化器内科・外科、呼吸器内科・外科、循環器科、神経内科、小児科、外科、整形外科、脳神経外科、心臓血管外科、形成外科、肛門科、皮膚科、泌尿器科、産婦人科、眼科、耳鼻咽喉科、リハビリテーション科、放射線科、麻酔科、健診科 病床数:501床(新棟オープン後)
Webサイト:http://www.matsunami-hsp.or.jp/
主要導入システム:ファイルメーカー「FileMaker Server」「FileMaker Pro」「FileMaker Go」、NEC「MegaOakHR」、富士ゼロックス「Apeos PEMaster ProRecord Medical」