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データサイエンティストに必要な「使わせる力」

 広島赤十字・原爆病院 医事顧問の西田節子氏は、「ビッグデータ時代における医療データサイエンティストの必要性」と題して講演した(写真3)。

写真3●広島赤十字・原爆病院 医事顧問の西田節子氏
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 同病院は、ベッド数598床、職員数1164人、25の診療科を持つ地域の中核病院である。2012年4月に、医療情報部門に統計調査係を新設し、昨年3月からデータ分析統合環境の整備を進めている。

 以前は、AccessやExcelで集計したデータを、PowerPointなどで資料として作成していた。現在は、データマイニングとその結果を可視化できる体制を整えた。文書作成、病診連携、病歴管理などのシステムと医療費支払いに関するDPCのデータファイルから、分析用データベースサーバーにデータを取り込むようにした。

 これとは別に、電子カルテの診療データを収納するために、データウエアハウスを設置。これらのデータを、リアルタイムで分析できるようにしている。

 職員は、クライアントPCから分析ソフトでサーバーにアクセスし、データを閲覧・分析できる。「一部の人だけに見せても病院は変わらないと考えて、できるだけ多くの職員に見てもらえる仕組みを作った」(西田氏)。たとえば、グループウエアのトップページに、必ず入院患者数や外来患者数などのデータを表示するようにした。

 診療現場での経験が豊富な西田氏は「病院の中だけでも、膨大なデータが蓄積されている。それを分析、加工して病院の意思決定に活用するのがデータサイエンティスト」とし、医療データサイエンティストに必要な能力として、自身の経験から以下の3つを挙げた。

(1)見つける力(問題解決力)。「データ分析を活用するチャンスを見つけること。こんなデータ分析なら役立つのでは、というひらめき、目利きが大事。どんなデータ分析をやってみるかではなく、どう変革するかという思考が必要」

(2)解く力(分析力)。「ただ解くのではなく、問題を解決する姿勢が必要。データ分析から得られる治験と現場の勘・経験を融合する。“検算力”を身に着けて、分析ミスをしないように注意する」

(3)使わせる力(実行力)。「データ分析で得られた解を意思決定に使わせる。将来の未知の事柄に関する示唆を得る上で、意思決定者がどんな情報を得たいと思っているかを予測して、分析結果を報告する」

 西田氏は特に(3)について「単に分析して面白いデータが出た、ではダメ。意思決定者に使ってもらえる形で提出する必要がある。そして、データ分析の良さを分かってもらって、今後も使っていこうと思わせることが最も重要」と解説した。