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 具体的には「レセプト(医療機関が保険者=市町村や健康保険組合などに請求する医療報酬明細書)のデータには、マイナンバーを付与できる。従って、健康保険証と一緒にマイナンバーを提出してもらって、保健給付の事務に利用することは可能だ」と説明。一方で、「地域医療連携や医療介護連携、研究の目的でマイナンバーを利用するには、法改正が必要となる」とした。

写真2●個人番号の利用範囲について。向井治紀氏の講演より
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 ただし、法律上は「社会保障、地方税、防災に関する事務その他これらに類する事務であって地方公共団体が条例で定める事務に利用」となっているため、「“地方自治体の事務”であればマイナンバーの利用は可能。条例で定めれば、自治体が主導する地域医療連携などで、カルテにマイナンバーを振ることもできる」(向井氏)と含みを残した(写真2)。

医療専用ID設定は「本質的ではない」

 このほか、「現行法を改正して、さらに利用範囲を拡張することも考えている」と述べて、今後のマイナンバー利用についてのアイデアをいくつか披露した。まず、「レセプトデータと健診データの突合せがうまくいっておらず、それにマイナンバーを利用できないか」というもの。また、「マイナンバーカードのチップに空き容量があるので、それを使って何かできないか考えている」とし、番号カードに併載する情報として(1)健康保険証・印鑑登録証など公的サービス、(2)国家公務員身分証明書や教員資格証明書などの国家資格証明書を挙げた。将来は、戸籍や旅券、預貯金、医療介護などの登録事務に利用拡大する可能性を示唆した。

 現在、医療界で議論となっている、マイナンバーをそのまま利用するか、それとも専用の医療用符号(ID)を用いるかについては「本質的な議論ではない」と断言。「マイナンバーと1対1で対応するあらゆる番号は、番号法の規制を受ける。従って、紐づけされる番号は、番号法とそれに基づいて定められた規定に従わなければならない」と、どちらの方式でもさほど変わりがない理由を説明した。

 そのほか、マイナンバーやビッグデータの円滑な活用を目的に、次期通常国会に提出する個人情報保護法の改正案についても触れた。「医療情報の特殊性はあるのかないのか、検討が必要だ。個人的には、特殊性・機微性が高いと思っているが、同時に公益性も高い」(向井氏)。例えば、がん登録法では、公益性の高さなどの理由で、本人の同意がなくても、がん患者の姓名、性別、生年月日や診断された日、種類や進行度などの情報を、全国がん登録データベースに登録・活用できる。医療情報もがん登録情報と同様に扱うべきか、それとも機微情報として特別扱いにすべきか、議論の分かれるところだ。

 向井氏は「個人的には、これを機会に徹底的に話を詰めるべきだと思う。年内にはある程度話をまとめて、個人情報保護法改正に対して、何らかの案が出せたらいいと思っている」と語った。