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医療情報へのマイナンバー活用当然視は疑問

 これに対して、厚生労働省の中安氏は、医療情報に対してマイナンバーを活用することが前提となっているかのような論調に、疑問を呈した。「プライバシーの議論なくして、IDの議論はない。今は、目に見えるID、電子的符号、プライバシー法制に関する議論が、同時並行で進んでしまっている。本来は、まず先に法制化の議論をすべきだった。ID活用が前提になっているかのような誤解を与えてしまったのは、私どもにも責任がある」。

 続いて、「IDは目に見える文字列なので、それをカルテやレセプトに記すというような要請は、されていないと考えている。制御する対象が番号を取り扱う人間となってしまい、リスクが非常に高い。一方、電子的符号は制御が可能なので、プライバシーリスクを具体化できる。今年度末には一定の発表ができるように、厚生労働省で検討・研究を進める。将来解析できるような形式で医療情報を蓄積するために、粒度や標準化方式をどうするか考えていければ」と説明した。

 これに対して、向井氏は「今回の個人情報保護法の改正は、流通促進とセットになっている。現在、様々な企業が個人向けのITサービスを実施しているが、認証制度がバラバラだ。ここで、公的個人認証を利用してもいいのでは、と考えている」と、今回の法改正の目的について語った。続けて、「個人情報保護法を改正する場合は、第三者機関の管轄を番号法から個人情報保護法に移すことになるので、番号法の改正も必要になる。そこでこれを機会に、(民間とも情報をやり取りする)トラストフレームワークなど様々な関連法案を一括法として扱うことを考えている。その過程で、医療IDを番号法案に取り込んでいくことも可能」と述べた。

 中安氏は、信頼できる組織を認定し、その組織間でユーザーのIDデータを連携させるトラストフレームワークに関して重ねて反論。「診療情報のやり取りとりについて責任を負う厚生労働省としては、相手の信頼度を自分で判断して与信できる仕組みのトラストフレームワークは、医療情報にはなじまないので使うべきではない、と考えている」と強調した。