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灰色の地味な内装の建物内を、大きなカートに大量の紙カルテや様々な器具を乗せた看護師が行き来する。医師や看護師のポケットにあるPHSが「ピピピ」となると、指示を確認し合う会話が響く──病院と言えば、少し前まではこんな光景が普通だった。

 この病院の“見慣れた風景”が、ITで徐々に変わりつつある。

 実は病院では、他の業界では使われなくなったPHSがいまだに幅を利かせている。この置き換え需要を狙い、データの送受信だけでなく音声通話もITに統一するソリューションが登場している。

スマホでITナースコール、患者氏名や部屋も表示

 2014年6月に岡山市で開催された第18回日本医療情報学会春季学術大会で、ユニアデックスがITベースのナースコールシステム(患者が看護師を呼び出すシステム)を展示した。

写真1●ユニアデックスのナースコールシステム。スマートフォンの呼び出し画面
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 ケアコムの病棟業務支援プラットフォームNICSS-R8と、病室に設置する患者が使用する呼び出し器、看護師などスタッフが持つスマートフォンを組み合わせたシステムである。NICSS-R8は、生体情報モニターや院内情報システムなど多様な周辺機器と連動し、ナースコール、センサーやアラーム、治療や使用する薬剤など医師のオーダー、血圧や体温など患者のバイタルデータを統合的に扱う。

 患者がベッドサイドの呼び出しボタンを押すと、看護師に配布している院内用スマートフォンの呼び出し音が鳴る。と同時に、患者の氏名や部屋番号などが表示される(写真1)。これまでは、患者がベッドサイドの呼び出しボタンを押すと、いったんナースコールでそれを受けて、そこで担当の看護師のPHSを鳴らすのが普通だった。すべてIT化したことで、患者と担当看護師をあらかじめ紐づけできるようになったため、直接担当者のスマートフォンにコールを転送できる。

写真2●管理用システムの画面と、患者用の呼び出しボタン
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 呼び出した看護師が一定の時間応答をしなかった場合は、あらかじめ指定した看護師(同じチームや同じ階などで分類可能)にもコールが転送される。スマートフォンは、看護ステーションなどに配置するターミナル端末で管理できる(写真2)。この画面では、電子カルテシステムとの連携で、その患者の担当看護師や病状、年齢や性別など基本的なデータも確認できる。

 2014年9月には、福井大学医学部附属病院がこのシステムを導入する。同時に、1700台のスマートフォンを医師や看護師に配布する計画。これまで利用していた医師や看護師のコミュニケーションシステム(PHSシステム)や一般の電話回線(一部は緊急用に残す予定)は廃止して、ほとんどの情報をITネットワーク上でやり取りすることになる。