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 このうち(1)には地域の医療・介護連携による臨床情報、(2)には病院内だけでなく東北地方全域の臨床情報、(3)には前向きコホートとゲノムの情報が集まる。ちなみにコホートとは、同じ属性もしくは同じ外的条件におかれた集団を、前向きコホートとはそうした集団を長期にわたって追跡する調査研究を意味する。ゲノムとは、gene(遺伝子)に集合をあらわす“ome”を接尾辞として組み合わせた言葉で、遺伝子データ全体を意味する。この2種類のデータを分析・活用すると、遺伝要因や環境要因が複雑に影響し合って、その結果生じる疾病の原因解明や予防・治療の方法確立に役立つ。

 情報基盤としては、(1)(2)は多種多様なデータを連携させ、研究に生かすことで地域医療体制を充実させようとするもの。どちらのデータも、匿名化などの処置を施したのち、一定のガバナンスのもとで研究機関に渡される。(3)は、長期にわたって蓄積した住民の健康情報に、ゲノムデータなどを組み合わせてビッグデータ解析・研究する。(4)は大学内の研究室の情報基盤だ。これらの研究成果は、臨床試験を実施したうえで、(5)の還元パイプラインを通じて東北大病院や地域の病院などの診療現場に還元される。こうした一連の情報循環の仕組みが、東北医療情報ハイウェイである。

MMWINに医療・福祉にかかわるあらゆる職種が参加

 中谷氏は、それぞれの情報基盤について説明した。まず(1)は、みやぎ医療福祉情報ネットワーク協議会(MMWIN:Miyagi Medical and Welfare Information Network)が運営母体となっており、ここには医師会や歯科医師会、介護福祉協会、看護協会、薬剤師会、検査技士会など、医療・福祉にかかわるあらゆる職種、すべての地方からメンバーが参加している。

 中谷氏は「震災の経験から強く思ったのは、紙のカルテがなくなると診察ができないこと、平時に使えないシステムは災害時にも役に立たないこと。また、宮城地区の医療資源の不足と、患者だけでなく医療従事者の高齢化も感じた」と語り、普段の診療や介護などの活動でも役立つ、医療者と患者を支援する地域医療福祉情報連携基盤の確立を目指していると説明した。