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摘出したがん組織3000例を総合的に解析

 これらの共同開発案件に続く目玉プロジェクトが、2014年初頭から静岡がんセンターを中心に始動した。「理想のがん医療」と「未病医学の実践」を目指す臨床研究「プロジェクトHOPE(High-tech Omics-based Patient Evaluation)」がそれだ。

 プロジェクトHOPEでは、がんの性質をさまざまな種類の解析から明らかにする「マルチオミクス解析」と呼ぶ手法を採用する。遺伝子解析(ゲノミクス)の他、RNA解析(トランスクリプトミクス)やたんぱく質解析(プロテオミクス)、代謝物解析(メタボロミクス)などに基づいて、がんの新たな診断・治療技術の開発につなげる。さらに、患者の体質にかかわる遺伝子を解析し、未病(予防)医学の確立につなげる。解析結果や分析試料は患者別に保存し、将来に新たな治療法や解析技術が生まれた場合に、その患者の個別化医療などに活用する計画だ。

マルチオミクス解析を行う
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 このプロジェクトでは、静岡がんセンターでがん摘出手術を受けた患者のがん組織を解析する。同センターでは年間3000例ほどのがん摘出手術が実施されており、「腫瘍サイズが大きい進行がんを中心に1000例を解析対象とする」(静岡がんセンター研究所 副所長の楠原正俊氏)。既に約500人の患者が登録済みで、がん発病の鍵を握る遺伝子(ドライバー遺伝子)の発現などを確認したという。今後3年間で3000例の解析を実施する計画である。「臨床レベルでのこれほどの規模の前向き(遺伝子)研究は、世界的にみても先進性がある」(楠原氏)。同プロジェクトでは心臓疾患など、がん以外の遺伝性疾患の予防医学についても研究する。