シンプルな設計で過酷な環境下で安定稼働
運用する作業者の技量に左右されず、安定した清掃品質を維持するためには、「完全な自律走行を実現し、スイッチを入れるだけで清掃を開始し、終了したら知らせてくれる必要がある」(三宅社長)。自律走行を実現するため、ロボットの前後左右に4つのセンサーを装着した。左右のセンサーで、太陽光パネルの縦のフレーム(外枠)を検知し、それを指示線に補正制御しながら直進する(図9)。アレイの端まで進んで、前後のセンサーがパネルのないことを検知すると停止し、既述した動作で左横の未清掃エリアに移動する。
太陽光パネルの上を自律走行する場合、CCDカメラを使って太陽電池セル(発電素子)の電極線(バスバー電極)などを画像認識して指示線にする方法もある。また、傾斜したパネル上を滑らずに走行するため、駆動輪にゴム製のクローラー(キャタピラー)を渡して設置面との摩擦力を高めることも多い。だが、未来機械ではいずれも採用しなかった。それは、「できるだけシンプルな設計にすることで、高温・乾燥地帯という過酷な使用環境下でも、安定して稼働することを目指した」(三宅社長)からだ。
「CCDカメラによる画像認識手法は、屋外では誤認識が起こりやすく不安定になる」と、三宅社長は言う。パネルのフレームを指示線にしたことで、バスバー電極のない薄膜系太陽光パネル(化合物型、アモルファスシリコン型など)にも対応できる利点もある(図10)。また、クローラーを採用しなかったのは、「軽量化するうえで不利になる」(三宅社長)ことが大きかった。そこで、駆動輪を3つに増やし、滑りにくいゴムタイヤを装着することで、クローラーなしでも、安定走行を実現した。