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本記事は、応用物理学会発行の機関誌『応用物理』、第83巻、第6号に掲載されたものの抜粋です。全文を閲覧するには応用物理学会の会員登録が必要です。会員登録に関して詳しくはこちらから(応用物理学会のホームページへのリンク)。全文を閲覧するにはこちらから(応用物理学会のホームページ内、当該記事へのリンク)

3次元のナノ粒子状構造体をイムノアッセイの基材として用いることで、抗体固定化量が増加し高感度な分析が可能となった。この3次元構造体をマイクロチップに搭載することで4時間の分析を20分に短縮できた。

1.まえがき

 現在、大病院以外の中小の病院やクリニックにおける臨床検査では、受診当日に検査の結果が得られることは少なく、結果判定に数日必要であり、迅速な診断と治療が難しい。これはバイオマーカ測定自体に時間が必要な場合があるほかに、測定に大型・高価な機器が必要であること、加えて専門の技師を必要とする場合があることから、多くの医療機関で検査が外部の臨床検査機関に委託されているためである。しかし、感染症の急性期や重篤な疾患が疑われる場合のように、迅速な診断が必要とされる場合は多い。また、災害現場や発展途上国のように清潔な環境が得にくく、物資がない場合において、このような過酷な環境では現場で検査ができ、電気、水といったライフラインが途絶えた状態でも検査ができる迅速性・簡便性に優れた検査が必要とされているのも現状である。よって近年、臨床検査の分野では「患者のそばでの臨床検査(Point Of Care Testing:POCT)」が求められている1)。POCTの実現のためには迅速・簡便な生化学検査デバイスが必須となる。また、進歩著しい生命科学分野でも大量の生化学検査に対応するため、迅速な検査デバイスが求められている。

 現在、代表的な簡易迅速型臨床検査としてイムノクロマトグラフィ法(IC)がある。IC法はセルロースメンブレンを用いたクロマトグラフィと抗原抗体反応、抗体標識法を組み合わせた方法で、代表的なものに妊娠検査薬がある。メリットとしては非常に簡便であり、かつ検査の場所を選ばないという点がある。一方、問題点としては定量性が得づらいことがある。このような背景から定量分析可能、かつ高感度・迅速・簡便なデバイスの創製を目的としたさまざまなイムノアッセイ、バイオセンサの研究が展開されている2~4)