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不足したプロセスへの理解

 ソニーがシックスシグマを導入したのは1997年のことである。当時、シックスシグマの活動は、結果として製造部門の品質改善に限定されたものとなっていた。

 その原因は、主に「プロセス」というものへの理解が不十分だったことである。

 ある時、開発部門の責任者から次のような話を聞いた。 「最近の技術者は技術を定量化できていない。例えば、何をもって『良い画質』とするか答えられない」

 ここでいう「定量化」とは単に数値化すればよいということではなく、何をもって「良い」と判断したかを、具体的な事象や測定結果をもって示すことである。

 また、ある技術者は「商品開発は宝くじみたいなものだ。コントロールできるものではない」と主張する。マーケティング部門でも「売り上げを上げたかどうか」が重要で、売り上げにどう貢献したかの測定指標が全くなかった。

 これは、製造現場以外はプロセスについての知識が根本的に不足していることを示している。例えば、成績の良い営業マンの仕事のやり方は、その人しか知らない。場合によっては、その本人ですら「なぜ売れるか」をよく分かっていないこともある。

 同様に技術者でも、良い開発のやり方はそれを実践している本人にしか分からないというケースも見受けられた。マネジメントは部下の頑張りを見守っているものの、そのやり方に対する関心が低い。つまり、実現のプロセスが重要であるはずなのに、着目していないのである。シックスシグマを導入した当初のソニーは、まさにこのような状況だった。