PR

自社流にアレンジ

 こうした状況を打破するきっかけになったのが、GE社の当時の会長だったJack Welch氏のアドバイスである。当時、ソニーにおけるシックスシグマの導入の先導役だった出井伸之CEOが、Welch氏から「GE社でも同様の問題に直面していたこと」「GE社は、シックスシグマを自社流にアレンジすることで、そうした状況から脱することができたこと」を教わるのである。

 そして、そのアドバイスを参考にして、シックスシグマを「経営全体の品質を高めるためのマネジメントツール」と再定義し、2000年2月にソニー流にアレンジした「ソニーシックスシグマ」として同手法の再導入に乗り出すのである。

 この「ソニーシックスシグマ」のポイントは、一般的なシックスシグマに対して「課題設定」「プロジェクト管理&ナレッジの共有」「成果の評価」―の3点を追加していることである(図1)。

図1●「ソニーシックスシグマ」の構成要素
「ソニーシックスシグマ」とは、ソニー流にアレンジしたシックスシグマのこと。一般的なシックスシグマに「課題設定」「プロジェクト管理&ナレッジの共有」「成果の評価」の3点を追加したのが特徴。
[画像のクリックで拡大表示]

 要するに、活動の成果をきちんとレビュー、整理・蓄積し、他の部門へ公開して情報を共有し、正当に評価するという流れを、会社の仕組みの中に組み込んでいったのである。すべてを定量的に評価し分析し、社員一人ひとりの「判断するクオリティー」と「指示するクオリティー」を高められるようにマネジメント・クオリティーの向上を目指すものと位置付けたのである。

 こうした自社流のアレンジとその位置付けの明確化により、シックスシグマは、単なる製造現場における品質改善のためのツールでなく、社員一人ひとりが自己のマネジメント・クオリティーを高めるのに役立つツールという認識が社内で徐々に高まり、シックスシグマを浸透させていく土台となっていった。

 このように、シックスシグマを導入することで大きな成果を上げるためには「自社に適したものにアレンジする」ことが肝要である。ただし、どうアレンジすべきかは、それぞれの会社の状況によって異なる部分が多い。

奥田啓之
ソニーイーエムシーエス経営管理部門経営品質部SSS担当部長
1981 年ソニー入社。家庭用ビデオの生産技術に従事し,その後,生産ラインの自動化,生産革新活動,設計改革活動などの全社的な革新活動にかかわる。1997年より,シックスシグマ活動に参画。2000年より開始したソニーシックスシグマではチャンピオントレーナーとして活動,ソニーの国内生産会社ソニーイーエムシーエスでソニーシックスシグマの実践を行っている。