小型の分光器
SCiOは、近赤外線を使った分光法で物質の組成を解析する。分子は固有振動をしており、光を当てると反射波が返ってくる。センサーは光源と分光器から成り、分光器で反射波をスペクトラムに分解し、その特性を把握する。近赤外線分光器は研究施設などで幅広く利用されているが、大型装置で高価なため、気軽に消費者が使える製品ではない。
SCiOは、消費者が手に持って使うことができるように小型化した。上の写真はSCiOに搭載されている分光器を示している。計測したスペクトラムは、クラウドに送信して解析する。具体的には、SCiOは計測したスペクトラムをスマートフォン経由でクラウドに送信。クラウドで専用データベースを検索し、スペクトラムを解析し、その結果をリアルタイムでスマホに返す。2秒程度で結果が分かる。SCiOはConsumer Physicsのサイトで予約販売されており、価格は249ドル。出荷は2015年3月からとなっている。
Kickstarterは医療機器を禁止
SCiOはクラウドファンディング「Kickstarter」で資金を募り、目標額を大幅に上回る276万ドルを集めた。Kickstarterは、New Yorkに拠点を置く人気のクラウドファンディング。570万人の“”サポーター”から10億ドルの資金を調達し、13万5千件のプロジェクトをサポートしており、大手ベンチャーキャピタルに匹敵する活躍ぶりだ。
Kickstarterは芸術、映画、テクノロジーなど、クリエイティブなプロジェクトを対象に事業を展開しているが、医療関連機器など病気治療を目的とするプロジェクトは対象外としている。ただし、SCiOのような健康関連機器は受け入れている。
例えば、スマートウォッチのさきがけとなった「Pebble」はKickstarterで1027万ドルを集め、一番人気のプロジェクトとなった。実際には、医療とフィットネスの境界はあいまいで、両者の区別は難しい。Kickstarterは指針を見直し、医療プロジェクトについても認める方向との見方もある。