「HIT太陽電池」をメガソーラーに採用
「おおた緑町太陽光発電所」では、太田市が、三井住友トラスト・パナソニックファイナンス(東京都港区)とリース契約を結んだ。発電設備は、同金融会社が所有する。太田市は、売電収入を得つつ、同社に年間約3000万円のリース料を20年間、支払う。EPC(設計・調達・施工)サービスは、パナソニックESファシリティエンジニアリング(前橋市・以下パナソニックESFE)が担当した。太陽光パネルは、パナソニック製の単結晶シリコン型「HIT太陽電池」、PCSは東芝三菱電機産業システム(TMEIC)製を採用した(図6)。
自治体が民間施設の屋根を借りて売電事業を行うケースは珍しい。加えて、パナソニックのHITを採用した数少ないメガソーラーでもある。HITは、アモルファス(非晶質)シリコンと単結晶シリコンを積層したハイブリッド構造で、トップクラスの変換効率を誇る。ただ、相対的に価格が高いため、メガソーラーへの採用が進んでいないのが実情だ。
同発電所では、太田市の公募に対し、パナソニックESFEがHITを採用して応募し、選ばれた。パナソニックは、HITではない一般的な結晶シリコン型太陽光パネルも外部企業から調達し、同社ブランドで扱っているが、「おおた緑町太陽光発電所」では、HITを提案した。
パナソニック高崎電材営業所の長井裕行主事は、「HITは屋根設置に向いており、価格が高くても、発電量が稼げるので、20年間でみれば、事業性は劣らない」と話す。屋根設置向きといえる点は、まず変換効率が高いので限られたスペースで多くの容量を設置できること。そして、高温時の出力ロスが少ないので、野立て設置に比べ、相対的に温度が上がりやすい屋根上でも、発電量が落ちにくいことを挙げている。