発電量は約2割も上振れ
実際、設置後1年間の発電量の実績を見ると、2013年7月~2014年3月は予想発電量より18%、2014年4月~8月は24%も上振れしている。発電量が予測値を下回ったのは、2度の積雪のあった2013年2月だけだ。国内のメガソーラーでは、NEDO(新エネルギー産業技術総合開発機構)の日照データを使った予測に比べ、実績が上振れすることは多いが、平均して2割前後の上振れは珍しい(図7)。
大幅な上振れの原因について、長井主事は、HITの特性に加え、「パナソニックは、システム製品でも、パネル1枚1枚すべてが仕様出力(公称最大出力)以上のパネルを出荷しているため、設置したパネルの出力はもともと定格出力を数%上回っていることも寄与している」と話す(関連記事)。
JPEA(太陽光発電協会)とJEMA(日本電機工業会)は、太陽光発電システムとして複数パネルをセットで販売する際、システムとしての出力値(工場出荷検査値)は、「公称最大出力値×パネル枚数」を下回らないとの業界自主基準を作っている。この自主基準では、公称最大出力を下回るパネルがあっても、同出力を上回るパネルとセットにしてシステム全体として公称最大出力以上になっていれば出荷できる。
パナソニックが、パネルの出力値に関し、業界ルールを超えた出荷基準を運用しているのは、三洋電機時代に子会社が引き起こした「発電パネル不正販売事件」の反省を踏まえている。1990年代後半、三洋電機子会社が販売した太陽光パネルの一部に仕様より出力の低い製品が多く含まれており、市民団体からの度重なる指摘によって、2000年10月の記者会見で不良品の存在を認めた、という事件だ。