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大手ではろくなことがない

――新しい会社を作ることへの意欲は。

中村氏 こちらに来てから数カ月は,投資家から電話が随分ありました。「何億米ドル出すから会社をつくらないか」ってね。でも全部断った。今後,会社を設立するかどうかは研究成果次第ですね。良い結果が出れば会社を興す可能性は十分ありますよ。

――当初手掛けるGaNの研究成果によっては,新しい材料に着手する前に会社を設立する可能性があるんですか。

中村氏 絶対にない。GaNに関しては,教え子が会社をつくることはあっても自分はやる気がない。自分で会社を興すとしたら,新しい材料を使ってですね。

――誘いがあれば,大手メーカで働く可能性は。

中村氏 100%あり得ません。大手企業に入ってもろくなことがないですから。こっちに来てつくづくそう思いました。米国を知れば知るほど,大手には魅力がないことがわかる。大手でもベンチャーでも給料は同じです。しかもベンチャー企業に入ればストック・オプションで大金をつかむ可能性がある。たとえ倒産しても資金は投資家が提供しているわけですから,次の会社を興せばいい。大手ではたとえストック・オプション制度があっても,株価が大きく上がる可能性は少ないですから。だから優秀な人はみんなベンチャーに行くんですよ。