110億円をプロジェクトファイナンスで調達

 「パシフィコ・エナジー久米南メガソーラー太陽光発電所」は、国内のメガソーラー開発にとって、2つの画期的な特徴がある。1つは、海外資本100%のSPC(特定目的会社)が事業主体になるメガソーラー事業に対し、国内の銀行がプロジェクトファイナンスを引き受けたこと。もう1つは、起伏のあるゴルフ場跡地に多くの太陽光パネルを設置するため、大規模な造成工事を伴うことだ。

 同発電所のSPCである「パシフィコ・エナジー久米南合同会社」は、米国企業2社の出資で設立された。ジェマソン・グループと世界有数の複合企業ゼネラル・エレクトリック(GE)グループだ。ジェマンソン・グループは、発電事業から燃料販売、石油・ガス開発、商業プロジェクト開発など、エネルギー・不動産関連の複合企業だ。パシフィコ・エナジーも、ジェマソン・グループの一員だ。

 米社2社のSPCへの出資額のほか、110億円を三菱東京UFJ銀行と中国銀行によるプロジェクトファインナスを組成して調達した。

 海外企業による出資に加え、同発電所では、初期投資を抑えるため、太陽光パネルに中国インリーグリーンエナジー製を採用した(図2)。パシフィコ・エナジーの金當一臣社長は、「外国資本に海外製パネルということもあり、EPC(設計・調達・施工)サービス企業と、プロジェクトファイナンスを引き受けてくれる国内銀行が決まるまで、たいへん苦労した」と打ち明ける。パワーコンディショナー(PCS)に関しては、実績のある東芝三菱電機産業システム(TMEIC)製を採用したものの、パネルについても国産を求めるEPCサービス企業や金融機関がまだ多いのが実態という。

図2●デモンストレーション用に設置したインリーグリーンエナジー製パネル(出所:日経BP)
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