地方自治体からの一括屋根借りに注力

――今後、どの程度の出力規模の太陽光発電所を手掛けていくのか。

恩田 出力10kW程度から、同10MW規模まで幅広くなる。最も多いのは、出力500kW~2MWの範囲となる。

 中でも、最近、注力しているのは、地方自治体と連携して、自治体が所有する建物の屋根を一括して借り、電力や経済が地産地消で循環する仕組みづくりだ。「スマートシティ構想」と称している。

 すでに約150もの自治体と協定を結んでいる。屋根だけでなく、廃校跡の校庭や、土木工事の残土置き場跡などを使うこともある。ウエストグループは元々、屋根上に設置する太陽光システムに強く、そのノウハウも生かせる。

 地元企業と競合すると想像するかもしれないが、住宅の屋根上から、メガソーラーまで、1社で総合的に太陽光を設置できる企業は限られている。

 公有施設への建設の場合、施工期間に制約が多い。学校の屋根上への設置は、夏休み中に限定される。公民館の屋根上への設置も、春と秋には工事しにくい。こうした施工を数十カ所単位で実施していくと、一つの地方自治体あたり、施工にほぼ1年間を要することもある。

 消防車1台分の車庫の上に約3kWの発電システムを設置する案件、100kW規模の発電システムまで、人材を最適に配置し、着実に作れる企業は多くない。

 そこで重要なのは、決して政治家などの力に頼らないこと。市役所、町役場・村役場に飛び込み営業できっかけを作り、交渉する。最終的には公募に応募することになるため、必ずしも提案が採択されないこともある。

ウエストエネルギーソリューションの恩田英久社長
(出所:日経BP)

――そうしたプロセスを踏んだうえで応募すると、採択されやすいのでは。

恩田 そうした傾向は感じる。効率面だけで見ると、これまでのように、メガソーラーを建設するために、1カ所の公有地を借りる方が、早くまとまる。現在のスマートシティ構想の提案は、地方自治体の意思決定に、より長い時間を要する。

 それでも、分散型電源の原点であり、ウエストグループにとっても原点となる、屋根の一括借りにこだわりたい。メガソーラー以上に地域密着型の事業となり、ウエストエネルギーソリューションの強みを発揮しやすくなる。

 ウエストグループは、家庭市場で成長してきた経緯から、さまざまな地域で地方自治体と密接な関係を築いてきた。こうした地域にメガソーラーを建設したこともある。

 加えて、地元の金融機関や有力な会計事務所とも提携してきた。青森から鹿児島まで、39の金融機関と提携している。「地域ドミナント戦略」(その地域で影響力を確保して優位な状況を確立する戦略)を徹底し、深く入りこんでいく。

 自治体が所有する建物の屋根への太陽光発電システムの設置は、売電事業だけが目的でなく、最終的に、ESCO(Energy Service Company:資金調達から関連システムの設計・施工・管理まで総合的なエネルギー関連サービス企業)としてのサービス提供を目指す。

 ESCOサービスの提供では、太陽光発電システムだけではなく、蓄電池を含めたシステム構築が必要になる。現在のメガソーラーのEPCサービスや発電事業で得た利益を、地域の分散型電源システムを構築していく事業に投じていく。

 こうした構想を前提すれば、今回の「接続保留」の影響はそれほど大きくないと考える。例えば、今後、九州電力管内で、接続申し込みの回答が再開された場合、大規模なメガソーラーの接続は、限られる可能性が高い。屋根を使う小規模な分散型電源の設置で、九州の自治体と協定を結んでいれば、その地域でより優位な状況を築けると考えている。