プレミアム分を上乗せした買い取りとセットのO&M

――この場合のESCOとは、新電力を立ち上げ、電力を小売りしながら、住宅や事業所の電力使用を効率化するのか。

恩田 電力小売りについては、リスクが高いと考えている、これに対して、電力の卸売りに関しては、卸電力取引所などある程度、インフラが整ってきており、例え薄利であっても、一定の利益は確保できると想定できる。このため、まずは電力の卸売りを想定している。

 また、太陽光発電システムのO&M(運営・保守)サービスにも注力しており、今後は他企業が設置した発電所に対しても、拡販を本格化していく。太陽光発電システムは、電気製品である。野ざらしを続ければ、壊れることもある。売電事業を20年間、安定して継続するためには、法で定められた以上のメンテナンスが必要になる。

 O&Mサービスでは、ウエストエネルギーソリューションが建設した太陽光発電所の多さが効いてくる。日本各地の太陽光発電所のO&Mを手掛けており、その数が増えるほど、人材配置などで効率化できる。

 さらに、O&Mを担当する条件として、太陽光発電所の発電電力を、買い取って欲しいというニーズも出てくる。ウエストエネルギーソリューションは大手電力会社より高い売電価格で買い取る方針だ。発電事業者にとっては、その売電価格の増加分で、O&Mの費用を賄えることになる。

――自治体の公共施設に設置した太陽光発電設備の場合、買い取った電力を自治体に販売することも想定しているのか。

ウエストエネルギーソリューションの恩田英久社長
(出所:日経BP)

恩田 地域の家庭や企業、行政機関などに電力を供給することも選択肢の一つとなる。ただし、すでに述べたように電力小売りはリスクが高いため、2016年の電力小売り全面自由化から小売りに参入するかどうかは未定だ。

 電力自由化先進国の動向を見ていると、ほとんどの新電力が淘汰された後、地域サービス会社と電力会社が合併している。つまり、地域における最低限のエネルギーは地産地消になるが、ベース電源については、全国規模の大手電力会社には敵わないために、共存する形になる。各国それぞれの事情の中で、電力自由化が進むと最終的にこうした構図に落ち着いている。日本でも大きく離れた姿にはならないと予想している。

 日本でもこうした状況になった時、大手電力会社は営業部隊を分離したり、外注したりすると予想している。通信でも起きてきたことで、例えば、NTTドコモの営業拠点であるドコモショップは、フランチャイズが多く、ほぼ外部の企業が運営している。

 電力自由化でも同じような営業形態になる可能性がある。その際、一次店と呼ばれるような営業組織の役割は、大手電力会社と関係が深い重電大手や大手金融のグループ企業などが担うだろう。ベンチャー企業や中小企業の多くは、一次店の下で営業を担う二次店になる可能性が高い。

 だが、公益性の高い大手電力の場合、一次店のすべてを関係の深い大手企業で占めることに対して批判も出やすいだけに、ベンチャーや中小企業が一次店として提携できる可能性もある。ウエストグループは、その一角に加わることを狙っている。そうすれば、ベース電源については大手電力会社と協調しつつ、独自に調達した太陽光発電の電力を組み合わせて供給するようなビジネスモデルも可能になる。

 ただ一方で、ベースとして、独自に確保できそうな電源も出てきた。第三セクター企業などが建設したが、維持できずに休眠しているバイオマスや小水力発電だ。自治体からこうした発電所を引き継いでほしいとの提案を受けることも増えており、現在、検討中の案件もある。

 小水力発電所の運営で問い合わせが増えているのは、埼玉県桶川市で稼働させた、貯水池上のメガソーラーの実績があるからだ(メガソーラー探訪の関連記事)。貯水池を活用した水上メガソーラーは、自治体に利点が多く、他の地方自治体からの視察が多く、「行政観光」の状況を呈している。

 水上メガソーラーで発電した電力を、小水力発電の揚水に使うという構想が、最近、注目されており、それが実現すれば、不安定な太陽光発電の電力を揚水として貯め、ベース電源に活用することも可能になる。