2014年ノーベル物理学賞の受賞者の1人である、名古屋大学大学院 工学研究科 教授の天野浩氏が10月10日に帰国し、同大学で記者会見を開催した(関連記事)。会場には多くの報道機関が集まり、質問が飛び交った。会場からは、高品質なGaN結晶ができたときの当時の感想を求められ、「それまで千数百回も磨りガラス状の汚い結晶だったので、最初は原料を(製造装置に)流し忘れたのかと思った。しかしきれいな結晶ができたと分かった瞬間、言葉が出ないほど感動した」(同氏)と当時の喜びを語った。
ノーベル物理学賞の同時受賞者で、天野氏の指導教官でもあった赤崎勇氏(名城大学 終身教授、名古屋大学 特別教授)に対する思いを質問されると、「赤崎先生は私にとってかけがいのない人。窒化物半導体に出会わせてくれた。当時、青色LEDの材料にはいくつか候補があった。その中で、窒化物が一番と赤崎先生に教わった」と赤崎氏への感謝の意を示した。
その上で、「赤崎先生は普段はとてもやさしい先生。いつもニコニコしている。しかし、論文を書くときだけは非常に厳しかった。普通は、2~3回校正したのち、提出する。赤崎先生の場合は、それが30回以上になることもあった。その経験が、非常に大きな糧になった」と語った。