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「1対多」の遠隔手術訓練を目指す

 計測・モデリンググループでは、生体計測とイメージング(画像診断)→統計解析や画像処理による計算解剖モデル・軟組織モデルの開発→診断支援や手術支援への活用、というフローに沿って研究を進める。例えば、計算解剖モデルの開発では、診断や治療に標準的な解剖モデルを使うのではなく、「個々の患者に特化した解剖図を作る」(計測・モデリンググループ担当の陳氏)。

 この計算解剖モデルをX線CT装置などに組み込むことで、機械学習によって臓器や血管、腫瘍を高精度に自動認識・検出し、手術計画などに利用できる形にする。既に、肝臓と膵臓の形態変化に基づく肝硬変の診断支援(ステージング)に利用できる可能性を実証したという。

 シミュレーション・可視化グループは、VRを使った手術訓練を、多地点の遠隔地を結んで実施できる環境を構築する。これまでも各所で開発が進められてきた「1対1」ではなく、「1対多」の遠隔手術訓練を実現しようという試みだ。

シミュレーション・可視化グループの田中氏
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 具体的には、VR手術シミュレーターによる遠隔地間での腹腔鏡下手術(胆のう摘出術)訓練の実現を目指す。そのために、「触感」「立体視」「透視」などを生かした“遠隔触覚協働VR環境”を整える。VRやハプティクスなどの技術を活用することで、「鉗子の動かし方などについて、あたかも熟練医のハンズオントレーニングを受けているような感覚が得られる」(シミュレーション・可視化グループ担当で、立命館大学 情報理工学部 教授の田中弘美氏)。しかも、この体験を遠隔地の多数の研修医や学生が共有することを可能にする。多地点間での映像表示遅延などの課題を克服し、「従来の遠隔手術シミュレーター(約2000万円)の1/10の価格でシステムを完成させる」(同氏)ことを目指す。