民生用途に向けたSSDでは、「多値化」と「微細化」によって大容量化と低コスト化を実現してきた。だが、製品の耐久性や信頼性は低下している。本連載ではSSDの製品寿命やデータ保持性能の低下を引き起こす要因とともに、SSDの代表的な不具合事例や誤解について解説していく。
連載
HDDとSSDを使いこなす
目次
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第4回:書き換え回数の平準化でメモリの寿命を使い切る
次に、冒頭で示した三つの不具合のうち、「MLCSSDのパラドックス」について紹介する。これは、SSDの書き換え回数(製品寿命)ばかりを気にして、データ保持性能を意識することなく大容量品を選択すると、データ・ファイルの破損を誘発する事態を指す。データ容量が大きいSSDは、「ウエア・レべリング」と呼ばれ…
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第3回:SSDの寿命はDWPDを指標に、ECCの限界にも留意
SSDの代表的な不具合事例が三つある。OS起動用に利用しているSSDでのデータ破損や消失、MLC(multi-level cell)のNANDフラッシュ・メモリを採用したSSDのパラドックスによるもの、そしてRAID技術への過信によるものである。
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第2回:電子リークが性能低下の大きな要因に
性能低下の大きな要因となる電子リークは、SSDの動作/非動作、電源のオン/オフに関係なく生じる。電子が漏出(リーク)すると、電子の量(電圧)が変わってしまう。また、トンネル酸化膜が劣化していくと、電荷トラップ(電子を捕獲する欠陥)が増加するため、電子リークの速度が増加してしまう。つまり、従来と同じ電…
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第1回:多値化と微細化で書き換え可能回数やデータ保持性能が低下
民生用途に向けたSSDでは、「多値化」と「微細化」によって大容量化と低コスト化を実現してきた。だが、製品の耐久性や信頼性は低下している。今回は、SSDの製品寿命やデータ保持性能の低下を引き起こす要因について説明していく。