このシリーズでは、中部電気保安協会の本店 保安部 太陽光プロジェクトチームによる、太陽光発電システムのトラブル事例や、それらのトラブルへの対応策、所属する電気主任技術者にどのように助言しているのかについて紹介する。同チームがまとめたトラブル事例集を基に、同チームの寄稿によって構成している。

 メガソーラー(大規模太陽光発電所)などの太陽光発電所で使われている太陽光パネルには、大きく分けて結晶シリコン系と化合物系の2種類があります。

 これまで紹介してきた接続間違いの例は、すべて結晶シリコン系の太陽光パネルを採用した発電所のものでした。今回は、化合物系の太陽光パネルの接続間違いを発見した事例を紹介します。

 産業用の太陽光発電設備の多くは、一つのストリング(太陽光パネルを直列で接続した列の単位)を開放電圧600V程度、短絡電流9A程度になるように構成しています。

 結晶シリコン系と化合物系の太陽光パネルでは、発生する電圧、電流の大きさが違います。そして、電圧は直列接続の枚数に比例して高くなり、電流は並列数に比例して大きくなります。このため、一つのストリングで同じ電圧、電流を得ようとする場合、ストリングの構成が大きく変わってきます。

 一般的に、結晶シリコン系では、直列接続する枚数が12~16枚程度、並列数は1列なのに対し、化合物系では直列接続する枚数が5~8枚程度、並列数が3~4列と異なります(図1)。

図1●結晶シリコン系と化合物系の太陽光パネルではストリング構成が変わる
結晶シリコン系は、直列接続枚数が12~16枚程度、並列数は1列。化合物系は直列接続枚数が5~8枚程度、並列数が3~4列 (出所:中部電気保安協会)
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