「30日ルール」活用の効果を検証
――500kW以上の太陽光発電所に適用される「30日ルール」を適用すれば、接続可能量がかなり積み増せるとの見方もあります。

能見 その点は、系統WGでの宿題で、現在、検証中です。1年を1時間ごと8760(365日×24時間)に分けて需要予測して、各日の昼間の電力需要を小さい方から順番に並べます。30番目までに需要の少ない日は、無補償で出力抑制できるので、その分、再エネの接続可能量は増えます。
ただ、現在の出力抑制の仕組みでは、1日前に発電事業者に連絡し、事業者自らが出力を停止することになります。晴れの予測で、出力抑制してもらったものの、実際は雨だった場合、30日の1日分を無駄に使ってしまうことになります。
――欧州などでは、大規模な再エネの出力を電力会社が直接、調整できるようになっていると聞きます。国内に設置されているパワーコンディショナー(PCS)でも、東芝三菱電機産業システム(TMEIC)など海外市場でも展開しているメーカーはこうした機能を搭載しているといいます。
能見 パワコン1台でみれば、技術的にはすでに可能だと思います。ただ、電力会社から多くの太陽光発電所を最適に制御するには、新たなシステム開発は必要になります。後は、制度的に認められれば、導入できるでしょう。こうした新技術のほか、地域間連系線の運用変更などでも、接続可能量を増やせる可能性があります。
年内をめどにいったん接続可能量が決まりますが、こうした新技術や制度変更によって、接続可能量は増えていくことになります。系統WGでは、オプションとしてこうした将来の接続可能量が提示されそうです。
太陽光発電設備を建設する施工業者などのキャパシティを考えれば、九州に年間に設置される太陽光は約200万kW程度と見ています。そうなれば低負荷期の昼間需要(約800万kW)のレベルに達するのは、早くても2年半はかかります。その間に新技術や制度変更で接続可能量を積み増せる可能性もあります。