では、前回の表2で紹介した新基準対応の対策は、浜岡原発4号機でどこまで進んでいるのだろうか。筆者が2014年7月に視察した状況などを基にみてみよう。
[1]の地震対策については、上述のMw9.0fをベースにした基準地震動の評価に基づき、耐震補強として既に配管や配線経路の補強改造工事を実施(図1)。2005~2008年に実施された耐震補強(水平方向地地震加速度約1000gal、鉛直方向地震加速度約700gal)の内容で不十分な部位については既に完了している。排気筒については、2008年に実施した耐震補強対策だけで、十分な安全余裕度が確保されているため、実施する必要はないと判断されている。
[2]の津波対策としては、21.1mという基準津波高の評価に基づき、防波壁、改良盛土(防波壁両側)、水密扉の設置が行われている。具体的には、海岸線南北方向1.6kmにわたり設置されている防波壁のかさ上げ工事などが行われている(図2)。防波壁は、岩盤に打ち込んだ鉄筋コンクリート製の基礎の上に鉄骨と鉄筋コンクリートから成るL字形の構造物を結合したもの。地中部の基礎の深さは10~30mにも及ぶ。浜岡原発での基準地震動を基に算出した津波の高さは、保守的な条件でも防波壁全面において最大21.1mとされており、かさ上げ後の防波壁の高さはこれを上回る22mとなる。筆者が視察した2014年7月時点で、工事は70%が完成していた。また、防波壁の北端と南端には、東西方向に高さ22mの盛り土壁(改良盛土)が設けられている。