「第18回 日本遠隔医療学会学術大会(JTTA 2014)」(主催:日本遠隔医療学会)が2014年10月25~26日、長崎大学医学部(長崎県長崎市)で開催された。学会全体を通じたテーマは「地域医療と在宅医療の融合を支援する」。各所で取り組みが本格化しつつある「地域包括ケア」をメインテーマに据えた。会期を通じて281人が参加した。
今回の開催地に選ばれた長崎県と遠隔医療を結びつけるキーワード。それが「あじさいネット」だ。
あじさいネットは、NPO法人 長崎地域医療連携ネットワークシステム協議会が2004年11月に立ち上げた地域医療連携システム。地域の中核病院が持つ電子カルテなどの臨床情報を、その地域の診療所やクリニック、薬局が閲覧できるようにした、いわゆる「病診連携」の仕組みである。情報のセキュリティーは、VPN(仮想プライベートネットワーク)基盤を用いることで担保している。
運用開始から10年を経た今、あじさいネットには長崎県内の大半の中核病院が参加しており、情報閲覧施設数は200を突破。地域医療連携システムの成功モデルとして、全国的にも知られる存在になった。
地域包括ケア時代に向けて、あじさいネットはこの先、どのような進化を遂げていくのだろうか。大会企画として開催されたシンポジウム「地域医療連携の展開」とパネルディスカッション「福祉分野への展開と課題」に垣間見えたその将来像を、以下では見ていこう。