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講演する金澤氏
講演する金澤氏
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健康データを預かってサービスにつなげる

 東芝の取り組みでは、東北メディカル・メガバンク機構が集めた1000人分のフルゲノム(全遺伝子)情報を活用することで、日本人特有のSNP情報のデータ量を1/3000に圧縮することを狙う。すなわち、フルゲノム解析と同等の情報量を、1/3000のデータ量のSNP解析から得られるようにするのだ。かつて数十億円といわれたフルゲノム解析コストはここにきて50万~100万円に下がった。東芝の手法を使えば「数千円から数万円で、疑似的にフルゲノムを解析できるようになる」。

 これにより、発生頻度の低いSNPを発見しやすくなり、特定のSNPと疾患の関わりを明らかにすることで、「こういうSNPを持つ人はこういう疾患にかかりやすいという、精度の高いバイオマーカーを作れる」。

 この他、将来の構想として「“健康データの信託サービス”を提供できないかと考えている」という。個々人の健康データを預かり、それを匿名化したデータとしてさまざまなサービスに応用し、その収益の一部を健康データを預けた人に還元するというものだ。「社会的なコンセンサスが必要であり、すぐに事業化できるわけではない」としながらも、こうした健康データの新たな活用法を探ると話した。